【 摂食障害体験者の作品 】   赤城高原ホスピタル

(改訂: 04/01/06)


はじめに  「摂食障害体験者による作品」

 摂食障害から回復途上の患者さんによる作品の一部を、ご本人の了解の下に転載させていただきました。


トンネル

暗く長いトンネルを
独りぼっちさまよっている私
早く外に出ないと…
でも出口が見つからない
早く出口を探さないと…
だけど外に出るのは怖い
どうすればいいの…
答えは出てこない
そして私はトンネルの中を
ずっとさまよい続ける

(摂食障害、女性、18歳)


お・い・し・い

「おいしい」って何だろう
分からないよ
思い出せないよ

自分の心の中から
その感覚だけが
すっぽりと抜け落ちて
すきま風が吹き抜けてゆく

でも、私にだって
「おいしい」と感じた瞬間は
あったはず
幸せな食卓が
あったはず

心の倉庫の鍵を開けて
呼びもどしてこよう
私の「おいしい」を―

(摂食障害、女性、17歳)


二つの心

未来を夢見る一方で
死に憧れる自分がいる

元気になりたい一方で
閉じこもりたいと思ってしまう

飛び立とうとする一方で
足がすくんで動けずにいる

夢や希望と不安や迷い
二つの心が揺れている

(摂食障害、女性、17歳)


死にたい

死にたい
死んでしまいたいのです
怒らないでよ
本当のことなんだから
悲しまないでよ
本音を言ったまでなんだから

彼は「死にたくない」と歌っていた
でもそれは彼に‘生きがい’があったから
私にはそれがない

死ねば…死んでしまえば
苦しみも悲しみも感じなくてすむ
喜びや楽しみも消えてしまうって?
そんなもの始めからない

死ぬことは悪いこと?
自殺はいけないこと?
生き地地獄の中で日々を過ごせというの?

やっぱり…死にたい…

(摂食障害、女性、17歳)


Birthday

小さいころは楽しかったっけ
友達がたくさん来て
みんなでケーキ食べたり
ゲームしたり

今年もベッドの上で迎えるんだろうな
年だけが大人に近づいて
心は全然成長していない
なんか皆においていかれるみたいで
不安で寂しくて…

『Happy Birthday』
本当に「Happy」?
幸せ?おめでたい?
大人になることが?

(摂食障害、女性、16歳)


ロボット

私はロボットです
センサーはいつも
他人(ひと)の顔色を感知しております
命令どおりに動きます
なんでも言うこと聞きます
とても精密にできています
ちょっと見ただけでは人間と区別がつかないでしょ
でも人間とは大きく違うところがあります
それは―心がないことです

(摂食障害、女性、17歳)


自分から自分へ

今死んじゃったら、意味ないじゃない。
君には夢が、あるんだからさ。
ここで人生、ダメにしないで。
ここで生きるの、あきらめないで。

一歩だけでいいんだよ。
一歩だけ前に進んでみようよ。
ひとこと、知らない人に声をかけてみるのもいいし、
ひとくち、食事を口にするのもいい。

今よりちょっと頑張って、
もっと自分を大切にすれば、
きっと未来も見えてくるはず。
明るい未来が見えてくるはず。

(摂食障害、女性、18歳)


私を包んで

私はみんなが思っているほど
強くはないよ
とてもはかないガラスの心
だから大丈夫なんて言わないで
だから頑張れなんて言わないで
そうしないと私は壊れてしまうから
薄いガラスをそっと包み込むような
そんな布に誰かなってください

(摂食障害、女性、20歳)


ジグソーパズル

ふるえた手で
一つずつ一つずつ
穴にピースをはめてゆく
私の心も穴だらけ
でも、一つずつ
‘いいこと’のピースをはめてゆけば
いつかは穴もなくなって
素敵な絵がみえるはず…

(摂食障害、女性、19歳)


普通って何?

もうこんな生活嫌だ!
普通になりたい
でも普通って何?
食事をちゃんと摂れること?
人と同じものが食べられること?
それが普通なの?
そうあることが正常なの?
今の私は異常なの…?

(摂食障害、女性、20歳)


言葉の贈り物

私の青春は、苦しいことや辛いこと
ばかりだった。
でもそんな時、たくさんの人が
なぐさめやはげましの言葉を
かけてくれた。

そして今は、私が
過去の私のように悩んでいる人に
「大丈夫だよ」のメッセージを送っている。

私は、人の痛みを自分の痛み以上に
強く感じてしまう人間だから、
時には辛くなることもあるけれど、
それでも私は彼女達にメッセージを
送り続ける。

何故なら…それは
過去の自分への
贈り物でもあるから。

(摂食障害、女性、20歳)


一人じゃないよ

あなたは 一人じゃないよ

自分だけが取り残された気がして
自分を責めてしまう日があっても

孤独を感じて涙が止まらない
夜があったとしても

それでも あなたは一人じゃない
仲間が ここにいるよ
皆 同じように悩んでいる

だから その仲間たちと
分かち合ってみようよ

すぐに答えは出ないかもしれないけれど
きっと 何か小さな
‘宝石’が見つかるはず

だから…勇気を出してそれを探してみよう

もう一人じゃないんだから…

(摂食障害、女性、20歳)


当ページの作品は、借り物です。作者がご自分のHPを作られたら、そちらに移動するかもしれません。[TOPへ]

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AKH 文責:竹村道夫(初版:04/01/04) 


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