3月某日商品の値上げラッシュが起きている。需要高まりによる値上げではなく原材料高騰による値上げで、たちが悪い。世界的にお金がだぶついて有効な投資先が無く、目先の利ざやを稼ぐために原油、穀物、鉄などの鉱物資源に大量のお金が流れ込んでいる結果起こっている高騰である。消費者は生活必需品の購入を優先し他の商品の購入は慎重にならざるを得ない。結果として全体の売上げは減速し、物価は高いのに景気は悪いスタグフレーションに陥る可能性もある。
 当施設としても多大な影響があるわけで対策を考えなければならない。利用率UPと経費削減しかない。利用率は入所・在宅部門共に低くなっている。19年度の収入は18年度に比べ1300万円の減少である。経費削減ではすぐに人件費の削減を思いつくが、人件費には手を着けないで労働生産性を上げる必要がある。当施設の人件費以外の削減率は同業他施設に比べ遙かに大きく無理な状況であるが、更に経費削減をしなければと思っている。
3月某日二人の新採用職員に就業規則の説明を行う。管理栄養士と介護支援専門員にである。二人とも以前から勤務していたが今回正職員になった二人である。早く仕事に慣れ利用者のために思う存分仕事に励んでくれることを希望する。
3月某日群馬県介護高齢課主催による介護保険事業者に対する集団研修に出席した。眠くなるかなと思ったが、学習院大学櫻井教授による「介護保険事業者の公的責任」と題する講演は大変参考になった。また法律は時代や社会状況によって大きく変化することも理解できた。
3月某日血友病薬害訴訟で実名を公表し、昨年、参議院東京選挙区で当選した川田龍三氏が堤未果氏と結婚するという。誠におめでたいことである。堤氏は最近、岩波新書から「ルポ貧困大国アメリカ」と題する書籍を出版した新進気鋭のジャーナリストである。この本を読むと、自由と夢にはふれていると言われているアメリカの社会問題が手を取るように分かり、その奥深い深刻さに、アメリカに移住や不法入国を試みる人たちに、ちょっと止めた方がいいよ、と言いたくなる。
3月某日関東のある介護保険施設でベッド柵に首を挟み窒息死する事故があったという。信じられない事故であるが、その後送られてきたベッド製造業団体のイラスト入り注意喚起文書を読むと納得する事例が多い。特に痴呆症の入居者の場合何が起こるか予想がつかない場面が多いので注意しなければならない。
3月某日
中国チベット自治区の首都ラサで起こった大規模争乱はチベット自治区以外のチベット人居住区でも発生しているようである。死者が出たのは確実のようだが、中国政府とチベット亡命政府発表が大きく食い違っている。また、中国以外の報道機関がチベットに入ることに制限がある為に事の真相は定かではない。オリンピックが開催される国で、デモ参加者が武力鎮圧され死者が何人も出、しかも自由な取材が規制されることがあって良いのか。オリンピックをナチス・ヒトラーのプロパガンダに利用したのと同じではないか。猛省を促したい。
3月某日静岡県立美術館でガンダーラ仏教美術博が今月末まで開催され見に行こうと準備したが、行けなかった。日本は、ガンダーラ美術の収蔵では地元パキスタンに次いで世界2位という。今回の目玉の仏像がホームページで見ることができるが、確かにギリシャ美術の影響を受けた当代随一の仏像である。本物が見たかった。

3月某日地元防災協力員の方々を交えた夜間想定の総合避難訓練が行われた。毎年のことで慣れたものであるが、3人の夜間勤務職員が初めての経験ということもあり右往左往したこともあり、点呼完了まで12分強かかった。前年6月頃、3人の夜勤者の役割分担については訓練している。現実に夜間火災発生時の訓練とはいえすべて自分たち3人で初期動作をしなければならない。本当によい訓練になった。
3月某日来年度の人事異動を発表した。退職者3名(内2名は定年でともにパート職員として来年度も勤務)と新卒採用者1名による比較的小規模な異動であった。新卒採用者の研修も今日から5日間の予定で行われる。
3月某日秋の彼岸供養から早いものでもう半年が経つ。ロータスとケアハウスの物故者200名余の名が呼ばれる。一人一人の顔が思い浮かぶ。そろそろ人数制限をしないと時間内で終わらなくなってきた。
3月27日ロータスヴィレッジの桜が開花した。玄関前のソメイヨシノを標準木にしている。昨年に比べ1日早い開花であった。これからソメイヨシノに続き、山桜、オオシマ桜そして最後に八重桜が次々と開花する。桜のあとはツツジ、サツキ更にはオオキンケイギクが開花する。
3月某日群馬県立近代美術館の改修工事が終了し、内部が一般公開されるというので行ってみた。絵画等の公開では無いのにもかかわらず30人ほどの熱心な県民と共に内部を見てみた。さすが最新の技術と設備に更新された内部は一見の価値があった。

4月某日新年度開始にあたり20年度の運営方針を発表する(20年度運営方針)。なかなか踏ん切り出来なかったが、19年度とほぼ同じ内容になった。もう一度介護の学習を施設全体で行う覚悟である。
4月某日横須賀市で起こったタクシー運転手殺害犯は、ナイジェリア国籍でアメリカ永住権を持つアメリカ海軍所属の軍人であった。前述した貧困大国アメリカによると、毎年約8000人の非アメリカ市民が市民権取得と引き替えに入隊し、兵士不足に悩む軍にとって国内に約75万人いる不法移民はまさに「宝の山」だという。このナイジェリア人が不法移民だとは断定できないが、市民権と引き替えに軍隊に入隊したことは容易に推測できる。アメリカと世界の民主主義を守るという崇高な理念で兵士をやっているわけでない、ただの市民権欲しさのやんちゃなアメリカ人になり損なった兵士だ。ここで問題なのは日米地位協定で、アメリカ軍人やその家族はパスポートも入国審査も必要なくアメリカ軍基地のゲートから日本に入国できるという現実がある。アメリカ軍人やその家族による犯罪が起こるたびにに「綱紀粛正」とか「改善」という言葉が日米両国首脳から出るが、過去何回この言葉を聞いてきたか。日米地位協定を変えるしかない。
 
貧困大国アメリカによれば、永住権を持っているものの、選挙権が付与される市民権を持っていないために様々な理由で国に送り返される永住権保持者がたくさんいるという。
4月某日地元有力紙上毛新聞には県内大学や短大などの卒業式や入学式の記事が載るが、これは情報の宝庫である。卒業生や入学生の数字が出ているから。それにしても介護系学生の入学者が少ないのが気になる。県社会福祉協議会宮下会長の話によると定員充足率は50%未満だという。今年度だけで特別養護老人ホームが700床も増えるのにお先真っ暗。いったいどう介護職員を集める。
4月某日顧問社会保険労務士がみえる。3月で2名の定年退職者が出、新規採用職員が2名勤めだした事による社会保険上の手続きをするための来訪である。この労務士も新年の切り替えで忙しいとみえて少々お疲れの様子であった。

4月某日
ケアハウス昼食カレーバイキングと野点が山桜満開の中行う。カレーとうどんは入居者が作り、野点はボランテイアの大沢先生とそのお弟子達が奮闘された。有り難いことである。入居者もボランテイアの先生達、そして職員達も一服いただき、カレーとうどをさくら舞い散る中美味しくいただいた。

4月某日夜11時過ぎのけたたましく鳴る電話の音。嫌な予感。やはりホームからの嫌な電話であった。ショートステイ利用者がいなくなったという。この利用者は何回も利用し、今日はショート利用3日目だという。今まで勝手に施設を出て行くということがなかったために職員も安心していて不意を突かれた格好である。過去には何度も勝手に出て行った利用者がいて、皆出ていく素振りを見せた人ばっかりで見守りをしていたので事なきを得ていた。とにかく探さなければならないので施設近隣に住んでいる職員に応援を頼むよう伝える。約1時間ほどで近所の両毛線沿いで応援職員に発見される。数カ所擦り傷がある程度で大きなけがはなかった。ほっとする。寒かったり雨降りだったらと思うと背筋が寒くなる。翌日この利用者に話を聞くと、「今日娘が来る予定であったのに来なかったので、ご飯の用意をしなくてはならないので○○の家に行くので施設を出ていったという。皆さんには本当に迷惑をかけて申し訳なかった」と言う。理由のある外出であったのだ。こういったケースでは、鍵を何重にもかけるという対策を立てやすいのだが、何重に鍵をかけても本人にとって理由のある外出を防ぐことは出来ない。理由の除去をするしかない。難問である。
4月某日群馬県社会福祉施設経営者協議会総会と懇親会に参加する。会長は全県会議員の松沢睦氏である。ここ数年自立支援の名の下社会的弱者への公的扶助が減っていることを会長は、挨拶の中で嘆いている姿が印象的であった。群馬県からも県民生活部長以下5課長が出席し、今年度の政策について説明があった。無駄な出費を抑え真に必要な出費をお願いしたいものである。
4月某日境アコーデイオンクラブ4名の面々がデイサービス慰問に訪れる。懐かしい曲のオンパレードである。
4月某日職員親睦会主催による歓送迎会が開かれる。定年退職者2名への感謝状とお祝品と花束の贈呈。初めて定年退職者を送った歓送迎会であった。

4月某日ゴールデンウイークが始まった。今年は曜日配列が悪く企業でも長期の休暇は取りにくいようである。当施設はカレンダーどおりで長期休暇は取れない。しかし、森林浴などをしてリフレッシュしてもらいたい。私はゴルフとハイギングとピアノリサイタル鑑賞をする予定。
4月某日午後7時から、BSハイビジョンで放送されたシルクロード50選を堪能した。NHKには、過去2000本のシルクロード番組が放送され、それがストックされているという。その中から選りすぐりの50本が放送されるのだからマニアにとっては垂ぜんの的である。私もこの50選の中で、@西安A兵馬俑B敦煌・莫高窟C鳴沙山・月牙泉D漢代の長城と玉門関Eタクラマカン砂漠の6カ所に行っている。番組を見ているとすべてに行ってみたくなる。妻は嫌だと言っているが。








     群馬県老施協ホームページhttp://www.jsgunma.jp



                                          
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ロータスヴィレッジの出来事と施設長日誌