1月某日正月2日に日直で出勤する。12月分の給与計算を行う。仕事始めの4日に銀行に振り込み依頼書をを渡さないと8日に振り込まれない。昨年は時間的余裕があって大学時代の友人が訪ねてきても何の問題もなかったが、今年は余裕がない。今年は訪ねてくることはないので一安心である。
1月某日政府は、平成21年12月30日「新成長戦略(基本方針)」を閣議決定した。この中で強みを生かす成長分野として6つの分野を掲げている。2番目のライフ・イノベーションによる健康大国戦略の中で「2020年までの目標として医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出、新規市場約45兆円、新規雇用約280万人」と述べている。要は、政府は医療・介護を大きな一つの産業に育て上げる覚悟を決めたということであろう。介護職員処遇改善給付金交付と共に介護の未来は明るいと年頭挨拶で述べた。
1月某日複数の職員が3月いっぱいで辞めることになりあわてて募集を行う。当老人ホームでは全員正職員なので早く決まると思っていたが、わずか1週間でハローワーク経由で後任が決まってしまった。それもすべてヘルパー2級資格を持っている。それもJOBカード対象者で施設で行う研修に多額の補助金が付くという。国をあげて介護への職業斡旋を進めている姿勢を感じた。辞めていく職員がすべて介護福祉士取得者で残念であるが、これら採用した職員には3年の経験の後介護福祉士資格を取得してもらいたい。
1月某日国産自動車メーカーがインドで生産する車に、日本産に比べ品質の落ちるインド産鉄鋼を使うという。日本では高品質(当然価格も高い)でなければ売れないが、品質は落ちても価格は安い車をつくる戦略に変更したという。これは介護業界にも当てはまり高品質で高価格を求めている感じがする厚労省指定の介護サービスを、低品質だが低価格のサービスを提供するという選択があっても良いような気がする。実際にユニット型特養ホームでは入所できる人は限られているし、当施設のような多床室でさえ入所を躊躇せざるを得ない人がいる。年金をはじめすべて右肩上がりの日本経済を前提につくられてきた歪みが、人口減少と高齢社会の到来と共に現れてきたと見るべきであろう。
1月7日21年前の今日昭和天皇がご逝去あそばされた。当日私は静岡からの帰り道で車を運転していたがカーラジオから流れてくる曲は悲痛なクラシック音楽のみであった。昭和天皇Xデイが事前に手筈されていたということだろう。それから21年経って皇族をめぐる動きも活発になった。今の天皇に男子の孫が生まれてこの動きも下火になっているが、天皇後継問題は今後も時に触れ話題になることだろう。
1月某日全国老人福祉施設大会千葉大会に参加する。政権交代後初めての全国大会であった。厚生労働官僚の話もあったが、民主党政権でも自民党政権でも政治決定されないことは話さないので実りのある話はない。いずれにしろ限られた予算の中で増え続ける要介護者高齢者をどう対処していくかというのは難問題である。 
1月某日日本とベトナムとの経済連携協定(EPA)で、ベトナムのホアン商工相は自国の看護師・介護士の派遣を早期に始める意向を示したという。すでにインドネシアとフィリピンの看護師・介護士が日本に来ているが、第2陣の受入は第1陣を大幅に下回るという。2年間で1000人の受入は無理であろう。昨今の介護関係職種の求人倍率は平成21年10月で1.33倍と平成20年度の2.2倍を大幅に下回っていることと、受入に多額のお金がかかりかつ職員配置基準にカウントできないことを考えれば受入施設が限られることは明らかであろう。もし受け入れたいと思う施設があるならば私はインドネシア人が良いと思う。その理由は、一つはインドネシア人には労働に対する真剣さが有るということ。宗教上の問題があるが労働に対する真剣さは働く上での必須条件である。二つ目にはフィリピンは、労働者派遣を国が管理し外国に自国民を派遣して外貨を稼いでいる歴史が長く、国民も海外からの送金によって食べることを何の違和感もなく受け入れている。これでは労働は金稼ぎの一つでしかなく、まして介護という人と関わる仕事にはむかない。介護福祉士資格などどうでもよく4年間日本で働けることの方が重要である。何よりお金が稼げることが大きい。
1月某日当施設職員親睦会主催の親年会が開かれる。理事長、理事も出席し和やかにそして楽しく一時を過ごすことが出来た。理事長や私が座る席に同席になった職員はちょっと嫌だったかもしれない。年に1回この新年会だけはくじ運が悪い職員が私たちと同席になってしまう。
1月18日当施設の紅梅が開花した。昨年は21日であったのでやはり暖冬なのか。今年は北国では雪が多く降り寒いという印象であるが。
1月某日全国老人福祉施設大会千葉大会に出席する。政権交代4ヶ月では前政権とあまり変わり映えはしない。増え続ける高齢者の介護問題は差し迫った問題であるが、限られた予算の中では一気に解決するはずもない。特に民主党政権は政治主導を掲げているのでこれはという解決策もない。2年後の介護保険制度変更と診療及び介護報酬改定まで待たねばならないだろう。大会3日目に『近未来の介護サービス』〜ロボットによる介助〜と題する講演と展示があった。一刻も早くロボットによる介護を実用化出来るよう関係機関は開発を急いでいただきたい。特養ホームでは、入浴介助にロボットを導入するだけで職員の負担を著しく軽くできる。
1月某日千葉大会の帰り東京・乃木坂にある国立新美術館で開催中の「ルノアール展」を見てきた。私は大会などで各地に行ったとき必ず地域の美術館を見ることにしている。ルノアール展は世界各国に保存されている絵画80点を借りて展示している。日本人は印象派の絵画がことのほか好きでこの日もたくさんの女性達が鑑賞に来ていた。新美術館のパイプを組み合わせた建物と印象派ルノアールの絵画をたっぷりと楽しんだ。
2月某日今日から新採用した職員の研修が始まる。概要説明、就業規則、医学知識、介護概論等盛り沢山である。資格を取得し長く勤務してもらいたい。 
   
2月某日新型インフルエンザ予防接種を一般の方も受けられるようになった。1回3600円だという。パンデミックも峠を過ぎたようだ。国産品それに輸入品ワクチンもここにきて大量に入荷し、在庫として残る気配濃厚である。当施設では、季節性インフルエンザは薬代だけ職員に負担してもらい予防接種を行っている。新型は行っていない。
2月某日来年度の事業計画及び予算の提出を求める時期になった。あっという間の1年である。どのような事業計画が提出されるか楽しみである。
2月某日ここ最近風邪気味になっている入居者が多い。インフルエンザではなく、ただの風邪である。寒い日が続くと風邪が広がる。あれこれ注意してはいるが、風邪だけは防ぎようがない。
2月某日朝礼の職員の一言は痴呆にならない方法であった。@散歩するA新聞を声を出して読むB料理を作るC社会と交わるD電車・バスで出かけるE日記をつけるF恋をする。以上のとおりであるが、皆さんはいくつ実践しているでしょうか。
2月某日当施設が介護人材雇用創出事業に該当し職員を一名採用することになった。この事業は、群馬県が事業元で介護専門学校の授業料ばかりでなく学校での授業時間を労働時間に換算して賃金が貰え、そのうえ社会保険にも加入できるという「本当にそうなの?」と思わず疑ってしまう程いたれり尽くせりの制度である。しかし、若い応募者は少ない。誰かいませんか。

 2月某日施設長研修会に出席する。講師は高崎市で小規模多機能型施設や認知症デイサービスなど地域密着型施設など15か所を手広く経営する株式会社の社長である。さまざまなアイデアを駆使し事業を拡張していった手腕は見事である。民間の事業者の話は得るものがたくさんあり刺激的である。如何に社会福祉法人が恵まれているかを実感する。
2月某日ここのところ銀行関係の講演会と懇親会に出席することが多い。講師は中山恭子、浅井信雄両氏である。中山氏は02年10月、地村さんら5人の拉致被害者を平壌まで迎えに行った参議院議員である。当初5人は出張名目で日本に行きまた平壌に戻ることになっていたという。しかし、彼女の「拉致被害者を救うのは国の当然の責務である。だから平壌に返す必要はない。」という主張で5人は日本に留まることになったという。5人には平壌に家族が人質として残っている。この家族に制裁が下されるかもしれないことは中山氏は分かっていたはずである。しかし、5人を平壌に返さなかった。この決断は、彼女がウズベキスタン及びタジキスタン大使時代に隣国のキルギスで4人の日本人鉱山技師が拉致され、外務省の方針に背き陣頭指揮をして救出した経験がものをいっている。たいしたものである。
  浅井信雄氏はTBSテレビの日曜朝の番組にも出演している著名な国際問題評論家である。氏は「現在は時代の大転換期で絶望は鬼門である」と強調された。氏は「今」を見る視点として@グローバル化が進展し、すべて世界中で起こることが連動しているA断定的な物言いはしないB中国とアメリカの動向は絶えず追わねばならない、の三点を挙げている。参考にしたい意見であった。
2月某日両親を連れて草津温泉に行ってきた。父は84歳、母は77歳と高齢である。父は温泉には入らずお湯に浸かるだけである。親孝行ができたかな。
2月某日特養入居者の食事会である。毎年恒例になっている。プラザアリアさんには刻み食にしてもらったりでいつもお世話になっている。
2月某日当施設の道路一本隔てた東側の土地の農地転用申請が許可となった。荒れ放題の土地であるが、北半分を芝張りの広場、南半分を駐車場にする予定である。地元の人にも使えるようにしたい。
2月某日豊田トヨタ自動車社長がアメリカ議会公聴会に出席した。問題が公になった当初は「ぐずぐずしているな」という印象であった。日本を支えている気概を持って決断力を見せてほしかった。創業家の三代目は日本が世界に誇るメーカーのトップである。問題になっているプリウスに搭載されているハイブリッドエンジンは世界の他のメーカーにはまねのできないハイテク技術である。それにしても奥田、張、渡辺といった社長経験者が沈黙しているのは不可解である。一説には、創業家を経営陣から排除するために行っているという。がんばれ豊田、ふれふれトヨタである。
2月某日今年度第1回目の特養事故防止勉強会が開かれる。特養全職員はこの勉強会に出席することになっている。お年寄りを預かるからには絶対に事故があってはならない。安全に過ごしていただくために開かれる勉強会である。
2月某日地元民生委員との交流勉強会が開かれる。今回は「介護保険制度における特殊寝台(介護用ベッド)の適用、在宅での適切な使用方法と環境整備について」であった。皆さん真剣に当施設の相談員の説明に聞き入り、またたくさんの質問も出た。来年度以降も定期的にこのような勉強交流会を持ちたいと思う。
2月某日この時期になると決まったように表れるのが花粉症である。天気の良い日曜日自転車に乗った。来ました、来ました鼻水と目のかゆみが。U・U・・・・元に戻るまで1時間以上もかかりました。医者に行かねば。


     群馬県老施協ホームページhttp://www.jsgunma.jp


                                          

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ロータスヴィレッジの出来事と施設長日誌