第52話  ロータスヴィレッジの電気使用状況について 
     
 今回はロータスヴィレッジの設立以来の電気使用状況について述べ、合わせて3.11東日本大震災以後の電気使用状況についても述べたいと思います。当施設の設立は平成6年4月1日ですが、サービスを開始したのは5月ですので平成6年5月から平成23年10月までの18年間のデータを分析します。まず用語の説明をします。
使用電力量=電圧×電流×使用時間……(1)です。
電圧は当施設でも100Vを想定していますが、現実には送電されてくる電圧は96V位です。当施設ではパナソニック製の電圧自律調整器を導入し92Vに抑えています。ですから(1)式から電圧が下がればその分節電になります。(96-92)/96*100=4.1%節電していることになります。なお、東京電力群馬県管内は、例えば4月分とは3月11日から4月10日までの電気使用量です。今年は3月11日に大震災がありましたから、電気使用量はほぼ正確に大震災の影響を反映していることになります。
 次に料金ですが、当施設のような業務用は、
料金=基本料金+使用電気料金
基本料金=1638円×過去1年間に計測された最大需要電力×0.85…(2)となります。
最大需要電力とは、当施設のような場合毎日30分ごとの積算電力を測定しその内の1ヶ月間の最大値のことです。(2)式から1度計測された最大需要電力は1年間使われますので如何にこの数値を低くするかが節約の鍵になります。今年や昨年のような酷暑ではこの数値が250kWを記録します(デマンドコントロラーは30分後の予測値を表示します)。当施設ではこの数値を抑える機器(デマンドコントローラー)を平成17年6月に導入し、今年は128kWに押さえ込みました。節約額は(2)式より1ヶ月当たり(250-128)*1638*0.85=169,860円、1年間では2,038,320円もの大金になります。


22

度      
 月  4 5  6  7  8   9
 使用電力量:KWh
 40,536
 30,414 26,898   44,478 55,800  60,816 
 料金:円 589,777   480,550  471,784  689,231  862,458  948,402
 最大需要電力:kW  108  102  77  125  139  142
 月 10 11  12  1  2  3 
 使用電力量:kWh  33,834 31,416  38,454  46,620  51,264  36,570 
 料金:円  584,947  529,952  599,149  648,259  723,759  578,211
 最大需要電力:kW  128  95  92  106  121  122

平成
23年度
使用電力量:kWh 33,516 23,778 22,230 39,252 48,024 46,734
 対前年同月比:% -17.3 -27.9 -17.4. -11.7 -13.9 -23.2
料金:円 541,033 388,778 452,502 675,824 822,984 831,938
最大需要電力量:kW 97 67 52 128 128 100
10 11 12
使用電力量:kWh 32,598 25,110 36,720
 対前年同月比:% -3.6 -20 -4.5
料金:円 614,080 514459 652,483
最大需要電力量:kW 127 65 110
 
 平成22年度23年度を比較しますと4月から10月まですべての月で使用電力を削減できています。私は節電を強く呼びかけたつもりはないのですが、社会全体が節電を意識し、職員もそれの影響から逃れられなかった結果だと思っています。施設が暗いとか、夏が暑いということはありませんでした。夏場のクーラーも昨年並みの温度に設定していたので8月に−13.9%、9月に−23.2%という数字は驚きものです。人が居ないところとか、極端に温度を低くしているところの温度を高くしたことが節電につながったと思います。



18年



9 
使用電力量:kWh 32,211 24,464 24,983 34,499 49,258 46,838 
料金:円 616,439 500,892 523,175 663,891 899,454 869,136 
最大需要電力量:kW 96 75 76 128 140 135 
10 11 12  3
使用電力量:kWh 29,600 26,530 33,133 39,945 43,820 35,957 
料金:円 598,251 532,204 613,602 693,316 760,840 658,879 
最大需要電力量:kW 115 78 94 109 117 110 

 23年度と過去18年間の平均を比べます。使用電力量は大きな差違は見られませんが、料金は23年度が大きく低下しています。これは(2)式で説明したように基本料金の低下が寄与しています。料金節約を考える場合、使用電力を減らすと同時に最大需要電力の低下を考える必要があります。これは家庭でも同じことが言えます。家庭の場合基本料金に相当するのが契約電流です。一般的には40Aが多いようですが、50Aで契約している家庭は40Aに変更しますと料金は下がります。ただし、たぶん契約電流変更の費用はかかると思います。
過去18年間の使用電力の
9 
最大値 40,536 30,414 28,308 44,478 55,806 60,816 
最小値  27,960  11,514  18,672  26,640  35,460  36,384
 月  10 11  12  1  2 
最大値  35,574 31,416  43,710  52,632  54,090  43,932 
最小値  24,054  22,260  28,194  32,718  35,406  30,042

過去18年間の電気料金
最大値 765,983 623,681 625,838 900,044 1,1243,718 1,124,773
最小値 511,101 327,737 444,526 547,293 621,100 666,229
10 11 12
最大値 771,948 703,955 814,125 867,299 997,408 813,485
最小値 460,167 443,923 473,869 518,976 602,613 512,960

過去18年間の最大需要電力  9
最大値 111 102 124 154 182 196(H6に記録) 
最小値 74 56 52 105 128 100(H23に記録)
10 11 12 3 
最大値 143 102 110 129(H9に記録) 131(H14に記録) 131(H14に記録)
最小値 80 58 77 85 89 97 

   最大需要電力は冬場でも割合大きな数値を記録します。平成9年、14年に大きな数値を記録しました。これは暖房をエアコンで行おうとした結果です。当施設は暖房は重油を熱源とするお湯循環方式の床暖房です。朝方3時間ほど床暖房を作動しておきますと昼間は暖房の必要がありません。しかし、平成9年と14年はこの床暖房の方法が確立されず、すべてエアコンで暖房を行った結果大きな値を記録しました。私の感想では、電気はちょっと油断すると大きな値を記録する傾向があります。ですから絶えず目配りをする必要があります。昨年、一昨年と暑い夏が続きましたが、この傾向は今後もずっと続くものとして対応した方がよいと思います。
 今、政府では福島原発事故に伴う補償財源を確保するための東京電力改革が議論されています。大幅なリストラ案が提示されましたが、難しいのは発電事業は国民経済活動の血液ですので潰すわけにもいかず、品質の良い電力を供給する必要もあるので悩ましいところです。それにしても電気料金の決め方があまりのも杜撰で不透明であったことが白昼に晒されました。前々回での「施設長の独り言」でも触れましたが、スマートグリッドや電力事業業務独占の見直しなど後々まで有効な改革を期待したいものです。

            平成23年10月31日  小林 直行


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