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施設長の独り言

                          HP開設にあたって。そして福祉経営とは(1話)

 長い間の懸念材料であったホームページがやっとの思いでできあがりました。
 パソコン歴は23年と長いのですが、私の頭の中でMS−DOSからWindowsへの切り換えがうまくいかなかったので今のブームに乗り遅れてしまいました。が、マニュアルと首っ引きで何とかHP開設に漕ぎ着けました。お金をかけずにすぐ更新できるようにこれからも頑張っていこうと思います。
 さて、老人福祉ですが、この仕事に携わって10年目になります。最初の6年間は措置という名の行政処分であったので割と呑気にやっていましたが、平成12年から介護保険となり経営という事が入ってきて毎日が勝負と言うことになりました。民間の厳しさから比べればまだまだ甘いと言われそうですが、何せそれまでは「措置費」と言う名の収入は保証されていましたので、サービスの向上だけ考えてれば良かったのですから、我々福祉人と呼ばれる集団は経営ということが苦手です。そもそも経営とは人・物・金をやりくりして事業を遂行することのようですが、我々が行っている介護サービスのように人が財産のところでは、巷に氾濫している経営学は今ひとつピンときません。
 今読んでいる沼上幹『組織戦略の考え方』(ちくま新書、2003年)は大変参考になる経営学書で為になります。読後感想文を次回載せたいと思います。
 もう一つ参考になる意見として東北学院大学助教授岡田耕一郎氏の「介護保険制度化の経営戦略」は右肩上がりの成長路線に知らず知らずの内に染まっていた私の脳を活性化してくれるのに大いに役立ちました。それは何が起きても私達が提供しているサービスをある一定以下のレベルには絶対に落とさない仕組みを作っておく、ということです。リーダー職員がやめた、中堅職員がやめた、新人が多く入ってきた、稼働率が落ち使える金がない等経営には何が起こるか分かりません。このようなときにも全く依然と同様なサービスが提供できる体制にしておく、ということです。私達はどうしても昨日よりは今日を良く、今日よりは明日を良くしようと考えがちです。これは職員に絶えず緊張をもたらし、ストレスをもたらすことになります。たまには息抜きも必要です。介護事業は社会のセーフテイーネットですので終わりがない仕事です。変わらぬサービスを永遠に提供する義務のある介護事業に携わる者としてはこの岡田理論はすばらしいと思いました。また施設経営において高福祉高負担(高いコスト)は誰がやってもできるわけで、低負担(低いコスト)は高いサービス、低いサービスに係わらず経営学的にはすばらしい事だというのも目から鱗です。
 今こんな事を考えて日々を過ごしていますが、経営者は休みの日も経営のことを考えているんだというのは偽ざる心境です。
         平成15年5月22日   小林直行



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