第45話  22年度群馬地域包括・在宅介護支援センター総会会長挨拶 

   昨年9月に設立されたばかりの本協議会も、今日は大勢の会員に出席いただいて総会が開催できること本当にありがとうございます。
    さて、鳩山首相の突然の辞任で自民党時代の安倍、福田、麻生と4代続いて短命政権になってしまいました。日本の政治は混沌とし先が見通せない状況が続いています(後日行われた参議院選挙では与党が敗北し衆・参ねじれ国会が生じました)。我々の仕事にも無関係ではありません。平成24年度からの介護保険制度の改正が控えており、どんな改正が行われるのか注意深く見て行かねばならないと思っています。多分、衆・参ねじれ国会の結果大きな改正はできないとの見方が大方です。
 ここに「地域包括ケア研究会報告書」があります。大変すばらしく、2025年のケア体制がこの報告書通りになっていることを切に希望するところです。この報告書を汲み取る方向で制度改正が行われるのが今までの厚労省のやり方です。18年の改正もそうでした。有識者に報告書をつくらせてその方向に制度改正を持っていくやり方です。責任を曖昧にした官僚の得意とするところです。
 気になるところがいくつか有ります。報告書では2025年の地域包括ケアシステムの姿として「地域住民は住居の種別にかかわらず、概ね30分以内に生活上の安全・安心・健康を確保するための多様なサービスを24時間365日を通じて利用しながら、病院等に依存せずに住み慣れた地域での生活を継続することが可能になっている。」と述べています。しかし、現実は安全も安心も健康もなく、その結果として施設入所や病院入院を希望している高齢者や入居させたがる家族が多いのです。2025年になると30分以内で高齢者宅に行く医師や看護師そして介護士が配置できる態勢が取れるのだろうか、はなはだ疑問です。
 二つ目の疑問は、「組織経営の安定化・効率化の推進」という項目です。この項目では、一定の事業
規模を有することが重要であり、事業
規模は小さくて構わないと考えられる、と述べています。事業所規模が小さいことが安定化や効率化につながるのでしょうか、ビジネスモデルを提示してもらいたい思いです。小規模多機能型事業所ではなく、大規模多機能型事業所がなぜ悪いのか分かりません。私どもの法人でも単独のデイサービスを定員10名で行っていますが、赤字です。正職員を雇わないでパート職員にすれば黒字になるのでしょうが、パート職員の頻回の出入りのために初任者研修に多くの時間を取られ質の良いサービスを提供できる自信が無いために踏み切れません。介護事業所の離職率も職員数が少なくなるほど高くなる傾向はこの報告書の中でも触れられています。私どもの施設は、本体の特別養護老人ホームに代表される施設サービスと在宅サービスがバランス良く配置され、双方の連携も良く地元の高齢者に安全や安心をしかも低料金で提供できています。私はこの形態を大規模多機能型施設と呼んでいます。効率化とは”利用者に低料金でサービスを提供する”ということではないのでしょうか。
 三つ目の疑問は、住民主体のサービスやボランテイア活動(互助)に触れていますが、この住民とは高学歴で教養があり物分かりも良い、収入もある住民を想定しているとしか思えません。現実は正反対の住民が多く相談員の皆さんは日々悪戦苦闘していると思うのです。ストレスを貯め、時には嫌になることも多々あると思います。それが現実です。今回の報告書では地域包括支援センターの役割として地域ネットワーク構築と介護支援専門員への支援を十分に行うとあります。その点では相談員のバックアップ体制が整うことは大変喜ばしいことです。
 本協議会では、研修を充実させ相談員の皆さんの苦労やストレスを少しでも軽減できるよう運営していきたいと思っていますので、何なりと意見や要望を言っていただきたいと思います。
 本日は総会ですので議案を慎重に審議していただき、2部ではスウェーデンの老人ホームに大変詳しい東北学院大学教授の岡田耕一郎先生の講演を聴いていただき、皆さんの老人ホーム感の増幅の一助になればと考えています。





            平成22年10月29日  小林 直行


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