5月22日(土)
函館市民映画館シネマ・アイリス3周年記念映画祭
「きみのためにできること」篠原哲雄監督舞台挨拶
Special Thanks to 猫の手さん
第2部 映画を観て感じたこと
この映画は主人公が録音技師で、宮古島に伝統工芸の宮古上布の取材にカメラマン、
演出家、助手、レポーターというクルーで訪れるんですね。
それで、映画の前半部分は、劇中劇のような感じで映画を観ながら
ホントのドキュメンタリーを観させてもらってる感じで進むんです。
それで、レポーター耀子役の川井さんも序盤インタビューがどこかぎこちないんです。
でも、主人公俊太郎の優しさにふれるうちにだんだんといいインタビューをするようになるのです。
うわべだけの言葉をしゃべるのではなく、同じ“何かものを創りあげる”人への共感とか
自分自身の“言葉”で語りかけるようになるんです。
それは、単にそういう演出だったのかもしれませんが、もしかして篠原監督が制作現場が
本当にドキュメンタリーを撮ってるように進んでいった。
とおっしゃっていたように川井さんという一人の女優さんのうちで
映画制作と同時進行で起きた変化なのかな?と思ったりしました。
んでぇ〜宮古上布を織る現地の方の表情がすごくいいなぁ〜と思いました。
あと東京でのOL生活をやめて、宮古島に住みついて上布を織るようになった方の
「先のことを考えるのは止めたのです。
先のことばかり考えていると、『今したいこと』を見失ってしまいそうだから」という
“言葉”が強く印象に残りました。
配役では、カメラマン役の大杉漣さんや、演出担当の田口浩正さんの存在がキラリ☆と
ひかっていて仕事に向かう男たちの姿にリアリティーを与えてくれたと思います。
男の人って仕事の後にお酒飲んだり、喫煙所でタバコ吸いながら
コミュニケーションはかっているんですよねぇ〜
“いい仕事するために”〜ただバカ話してるだけじゃない(笑)
なんか妬けますねぇ〜男たちだけで団結しちゃって。
女の子のスタンスと絶対的(?!)に違うものがある。
でも、女の子だって仕事も恋もって頑張ってます。
気持ちへこんだときには大好きなまさやんの歌聴いてぇ〜♪
篠原監督ぜぇひ頑張ってる女の子?(30才前後)の映画創って下さい。
最後に篠原監督の創り出す「音」と「映像」について。
『草の上の仕事』を観て頂ければあの42分間の中に
篠原監督の世界がギュッと凝縮されているんじゃないかと思うのですが
〜朝の小鳥のさえずりから昼太陽が高く昇ってセミが鳴きだして、
のんびりした午後のカッコウから日がどっぷり暮れて虫達が鳴く音〜
そして登場人物の心をの流れを草が雄弁に語る。風が教えてくれる。
そして『きみのためにできること』でも心を穏やかにしてくれる波の音や機織りの音、
沖縄の民謡など素敵な音が散りばめられています。
特に風鈴の音は俊太郎と日奈子の心を結ぶ大切な音として使われています。
人の記憶を呼び覚ます音、人と人とのかけ橋となる音。
〜次に映像。
海の青、空の青、宮古上布の藍色、素敵でした。
けど猫の手はやっぱり今回の作品も“緑”が目に焼きついて離れません(笑)。
宮古島の草木の緑、風に揺れる緑、俊太郎の故郷近くロケ現場の緑。
それは、単なる風景じゃないのです。時に役者以上に語りかけてくれるのです。
登場人物の心を代弁してくれているというのかなぁ。
それを可能にしたのが撮影の上野彰吾さんなのでしょうね。
映画観終わって猫の手もまるで『薄桃』飲んだように“ほろ酔い”状態です。(*^o^*)
篠原監督の映画って後からじっくりじわぁ〜っと効いてくるお酒みたいで心地いいです。
たくさんの方にこの映画を観てもらいたいです。そして自分にとっての素敵な音、
素敵な色や映像を探す旅に出て欲しいなぁ。久しぶりの映画館、贅沢なひとときでした。