当相談室のマインドフルネストレーニングは、様々な方(対象者)の心の成長をサポートします。

 

|各種サポート

サポート

対象者

うつ うつ病を改善したい方、うつ病の再燃再発を予防したい方、うつ病の診断はないけど、うつ的な気分、うつ的な身体を改善したい方。
ストレスケア 診断はないけど、ストレス(イライラ、落ち込み、不調)に悩まれる方でストレス緩和を自力で行えるようになりたい、セルフケアを学びたい方。
不安 対人不安、あがり症、過敏性腸症候群、自律神経系の症状、吃音などの
不安関連の症状や生きづらさに自分で対処できるようになりたい方。
喪失体験 愛する人を失った苦しみ、喪失感と上手につき合えるようになりたい方、これからの自分(生き方)を立て直したい方。
がん がんに伴う抑うつや不安をやわらげたい方、がん当事者を支える家族側の心のケア(ストレスケア)に取り組みたい方。
中高年 中高年期に伴う孤独感(寂しさ、ひとりぼっち、不安、悲しみ)をやわらげたい方、今ある自分(生き方)をもっと肯定的に受け入れたい方。
スポーツ選手 プレッシャーに負けないメンタルスキルや自分の能力を引き出すメンタル技術を身につけたい方、競技の内・外におけるストレスをケアしたい方。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

|うつ病とマインドフルネス

うつ病の再発問題は深刻であり、うつ病をはじめて経験した人の2人に1人(50%)以上が、そして、3回以上の経験者では90%以上の再発率が示されます(独立行政法人「労働政策研究・研修機構」2012)。

うつ病に対する「マインドフルネス」の有効性は、8週間のマインドフルネス認知療法(Mindfulness Based Cognitive Therapy:MBCT)において、過去3回以上のうつ再発エピソードのある者の再発率を40~50%低下させる予防効果が認められています(Segal, Williams, & Teasdale 2002)。

さらに、3回以上のうつ病エピソードをもつ者に対して、抗うつ薬や認知療法(認知行動療法)といった従来のアプローチによる効果が認められない場合でも、マインドフルネス(MBCT)の効果が有効であるとの報告もあります(Eisendraeth et al.2008:Kingston et al.2007)。

こうした知見から、イギリスの「国立医療技術評価機構」(NICE)は、自らの作成する『うつ病の臨床ガイドライン』2004;2009のなかで、 マインドフルネス認知療法が費用対効果の高い予防的アプローチであることを推奨しています。

 

|ストレスとマインドフルネス(脳科学)

マインドフルネス瞑想は、精神疾患や慢性的ストレスの原因となり得る「雑念の暴走」をコントロールすることで、ストレスを感じにくい脳をつくり上げると考えられています。

それは、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや:dlPFC)と呼ばれる「大脳全体の司令塔」がマインドフルネス瞑想によって活性化するからであり、これによって雑念(DMN)の暴走が適正にコントローされると考えられているからです(ちなみに、dlPFCの機能低下はやる気や興味・関心、思考力、判断力、忍耐などの減退へつながり、うつ病や境界性パーソナリティ障害などの精神疾患でもみられます)。

雑念をつくりだすDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)とは、「無自覚で未来や過去に思いを巡らせている状態」として近年注目されており、心配や後悔といったストレス(不快な思考や気分)と結びつきやすいことや、幸福度の低さと関連する脳内活動であることが分かっています (Killingsworth et al. 2010)。

マインドフルネス瞑想は、このDMNの暴走を「モニタリング」したり、雑念(DMN)から意識(注意)を「解放したり」、さらには目の前の活動や課題に「注意を向けさせ」、その注意を「維持する」という脳の司令塔の働きを活性化させます。こうすることで、ストレスを感じた時にそれに気づき、より生産的・健全な判断や行動への調節を可能にしているのです。

実際、マインドフルネス瞑想を実践している人の脳画像から、恐怖や不安、嫌悪をつくりだす「偏桃体」(情動中枢)の活動性が抑制され、それに相まってdlPFCの活動性が促進されることが明らかにされています(Allen et al. 2012:Goldin et al. 2010:Lutz et al. 2014)。なお、偏桃体の過活動は気分調節を困難にしたり、精神疾患の発症における神経生理学的な原因とされています)。

 

|幸福感(満足感)とマインドフルネス

幸福感(満足感)というと、ポジティブな経験が必要であると一般では考えられていることでしょう。しかし、マインドフルネスは、このような状態とは異なる結果を生みだすことが縦断調査の結果から示されています。

例えば、質問紙で測ったマインドフルネス傾向の低い人(群)は、日常的な活動性(過去1カ月間の活動性)の程度が低いと「満足感」も低下しますが、マインドフルネス傾向の高い人(群)では、その活動性の高さに関わらず、満足感は一定して高めであったことが示されています(田中・竹林・杉浦 2012)。

活動的でなくとも満足感や幸福感が得られる―。そんな心の使い方が、マインドフルネスの中に在ることは、活動的になりづらい状況にある人でも(病気や怪我、忙中)、今(自分)を精いっぱい生きる方法を与えてくれることでしょう。

このトレーニングでは、そうした心の使い方を段階的に練習し、ムリなく誰でもマインドフルネスを身につける(育てる)ことができます。

 

 

|免疫力とマインドフルネス

マインドフルネス瞑想を継続することで、免疫反応が増強する可能性もわかっています。

例えば、8週間のマインドフルネスプログラム(Mindfulness-Based Stress Reduction:MBSR)に参加されたHIV患者(免疫不全疾患)のT細胞は(ウイルス感染と闘う免疫細胞は)、8週間(2カ月)過ぎてもその総数が一定レベルに保たれていることや(通常は感染経過によって減少するが)、マインドフルネスの授業により多く参加した人々ほど、その総数(T細胞)が多くなっていたことが報告されます(Creswell et al. 2009)。

このほか、免疫介在性の皮膚疾患である「疥癬」の治療では、マインドフルネス瞑想を従来治療(UV療法)に加えた群の治癒率が、従来治療群より4倍近く高かったことや、治癒に至るまでの平均期間がより短かったと報告されています(Kabat-Zinn 1998)。

これらは、心(精神)と生理的作用(免疫システム)が密接に関わることを示しており、マインドフルな心の使い方を練習することが免疫システムも改善することを示しています。

最後に、免疫システムだけでなく、遺伝子レベルの活動にまで及ぶマインドフルネス瞑想の効果も知られています。ウィスコンシン大学のリチャード・デイビットソン教授は(2014)、肥満やがん、心臓病、糖尿、脳卒中、高血圧といった炎症関連性疾患を引き起こす誘発遺伝子(RIPK2)の活動が、たった1日の瞑想実践によっても劇的に抑えられることを報告しています(長期的効果については解明中)。

こうした報告を踏まえ、マインドフルネス瞑想は、補完医療・代替医療の意義を持つとして、標準治療と併せた応用試験が多く行われています(悪性腫瘍、気管支炎喘息、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、肥満、高血圧、心疾患、移植患者など)。

 

|資料

  1. http://www.doctorsontm.com/national-institutes-of-healthを参照。
  2. 独立行政法人 労働政策研究・研修機構.(2012).「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」.
  3. Allen, M., Dietz, M., Blair, K. S., van Beek, M., Rees, G., Vestergaard-Poulsen, P., Lutz, A. & Roepstorff, A. (2002), Cognitive-affective neural plasticit following active-controlled mindfulness intervention, The Journal of Neuroscience, 32. 15601~15610.
  4. Carlson, L.E.(2012)Mindfulness-based interventions for psysicalconditions:A narrative review evaluating levels of evidence, ISRN Psychiatry.
  5. Eisendraeth S. J., Delucchi, K., Bitner, R., Fenimore, P., Smith, M. & McLane, M. (2008, Mindfulness -Bassed Cognitive Therapy for Treatment- Resistant Depression: A Pilot Study, psychotherapy and Psychosomatics, 77, pp. 319-20.
  6. Golding, P. R. & Gross, J. J. (2010), Effects of mindfulness-based stress reduction(MBSR) on emotion regulation in social anxietu disorder, Emotion, 10, 83-91.
  7. J. D. Creswell, H.F. Myers, S.W.Cole, and M.R.Irwi.(2009) Mindfulness Meditation Trainning Effects on CD4+ T Lympshocutes in HIV-1 Infected Adults:A Small Randomized Controlled Trial, Brain, Behavior, and Immunity:184-188.
  8. Kabat-Zinn, J., Wheeler, E., Light, T., Skillings, A., Scharf, M., Cropley, T. G., Hos,er, D, & Bernhard, J.(1998). Influence of a mindfulness meditation-based stress reduction intervention on rates of skin clearning in patients with moderate to severe psoriasis undergoing phototherapy (UVB) and photochemotherapy (PUVA). Psychosomatic Medicine, 60, 625-632.
  9. Kenny, M. A. & Williams. J. M. G.(2007), Treatment -resistant depressed pationts show a good response to Mindfulness-based Cognitive Therapy, 45(3), pp. 617-25.
  10. Kaliman P, Alvarez-López M.J., Cosín-Tomás M, Rosenkranz M.A., Lutz A., Davidson R.J.(2014). Rapid changes in histone deacetylases and inflammatory gene expression in expert meditators:Psychoneuroendocrinology.Feb;40:96-107.
  11. Killingsworth, M. A. & Gilbert, D. T. (2010) , A wandering mind is an unhappy mind, Sience, 330 (6006), 932.
  12. Kingston, T., Dooley, B., Bates, A., Lawlor, E., & Malone, K. (2007). Mindfulness-based cognitive therapy for residual depressive symptoms. Psychology and Psychotherapy: Theory, Research, and Practice, 80, 193–203.
  13. Lutz, J., Herwing, U., Opialla, S., Hittmeyer, A., Jancke, L., Rufer, M., Grosse-Holtforth, M. & Bruhl, A. B. (2004), Mindfulness and emotion regulation- an fMRI study, Social Cognitive, and Affective Neuroscience, 9, 776-785.
  14. Ma, S. H. & Teasdale, J. D. (2004), Mindfulness-based cognitive therapy for depression:Replication and exploration of differential relapse prevention effects', Journal of Consulting and Clinical Psychology, 72(1), pp. 31-40.
  15. 田中圭介・竹林田武・杉浦義典(2012)主観的な報酬知覚に対する日常での行動活性化レベルとマインドフルネス傾向の影響. 日本行動療法学会第38回大会論文集. 326-327.
  16. Witek-Janusek L, Albuquerque K, Chroniak KR, Chroniak C, Durazo-Arvizu R, Mathews HL.(2008). Effect of mindfulness based stress reduction on immune function, quality of life and coping in women newly diagnosed with early stage breast cancer.
  17. Zeidan F, Martucci K, Kraft RA, Gordon, N.S., McHaffie, J.G. & Coghill, R.C.(2011)Brain mechanisms supporting the modulation of pain by mindfulness meditation. J Neurosci 31:5540‒ 5548.