再起を誓う―鈴木宗男の禊ぎ
 
野中広務の下で人事を握り、 恫喝で官僚を従え、口利きで集めた政治献金をばら撒いて、一躍、 自民党のスターダムにのし上がった男。
伏魔殿を影で支配し、 北方領土を切り売って、 政府開発援助を錬金術に変え、 田中真紀子との死闘を繰り広げた男。
そして、某替え歌サイトでも 不動の人気を獲得した男。

男の名は…  鈴 木 宗 男


 


「疑惑の総合商社」と呼ばれ、ついには自民党を離党。
その政治生命は絶たれたと思われていた宗男議員ですが、 なんと、今度の総選挙に出馬するという情報が飛び交っています。
ぉぃぉぃ、マジかよ!

しかし、彼は自民党を離れて、無所属の身。
無所属でも当選する実力を持った議員さんも、そりゃあ、いることはいますが、 いまの宗男議員には「被告」の敬称(?)つき。
誰があなたに投票すると思っているの?

しかし、そんな彼でも、案外地元では票が集まってしまうものかも知れない、 と過去の選挙を調べてみた結果…。


 
「衆議院は小選挙区300にして、比例でわけの分か
らないおっさんが通らなくていいようにしないといけない」


宗男は選挙に弱かった。

まず、'96 総選挙では、当時新進党の北村直人 に敗れていることがわかりました。
…じゃあ、なんで議員続けてるねん?

彼はこのとき、稀代の悪制「小選挙区比例代表並立制」によって救われたのでした。
当時は、小選挙区で負けたにもかかわらず比例で復活する候補が出て 問題視されたものですが、比例名簿が「北海道ブロック1位」の鈴木宗男は、 最初から当選を約束されていたようなものだったのです。

そして続く00年総選挙では、最初から比例区のみ「北海道ブロック1位」で出馬。
もうね、サギかと。八百長かと。
お前らな、宗男如きを神聖な比例1位に座らせんじゃねーよ、ボケが。
比例1位だよ、1位。
なんか北村直人とかもいるし。比例15人で自民党か。おめでてーな。
よーし武部に農水相頼んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、政治献金やるからその席空けろと。
比例区ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
比例代表名簿の上位に座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。復活組は、すっこんでろ。

…話が脱線した。
ともかく、定数5の旧北海道5区では最高でも4位、小選挙区では勝ち星無し。
ただでさえ選挙に弱い宗男さん。
比例区に出られない無所属でどう戦う気かと思っていたら…。


 
「自民とか民主とか2世議員に政治を握られ
るくらいなら、田舎者同士で新党をつくろう」


新 党 結 成 構 想 !?

構想の中心は有力支援者の1人である歌手の松山千春さん(47)。
比例北海道ブロックで戦うことを視野に…。

(゚Д゚)ハァ?

とことん比例区にこだわりますか?
それより、比例なら当選できるとでも思っていますか?
彼のように、良くも悪くも「利益誘導」で議員のバッヂを守り続けてきた代議士は、 政権与党を離れてしまえば大抵、利益が誘導できなくなりますので、 ただの元議員になってしまうのです。

ですが、利益を誘導する方法がまったくないわけではありません。 自民+公明+保守と連立政権を組めばいいのです。
あぁそうか、自動的に1人分、大臣のイスがついてきて more better だな。
「自公保宗」連立政権の誕生をご期待申し上げます(笑)

ちなみに、当選の鍵を握る比例名簿順位は、1位が宗男、2位が千春だそうです。
どーせなら3位に北勝海(現八角親方)を入れて、 北斗新党とでも名付けたらいかがでしょうか。

とまぁ、半信半疑で宗男氏の動静をチェックしていたところ…。


 
「私自身は戦いたいし、やらせ
ていただきたいという思いでした」


出馬断念「胃がんの手術」で

鈴木宗男被告は18日、北海道釧路市で開かれた拡大役員会で、 次期衆院選に立候補しないことを明らかにした。
胃がんの手術のためと説明している…。

なんという衝撃の幕切れでしょう。
闘病に専念するため、出馬を断念した宗男氏。その心中は察するに余ります。
ただ、「出馬を断念したのは容疑と関係ない」と言っているようですが、
もし勝てる見込みがあったとしても、果たして同じ結論を選んだでしょうか。
ぶっちゃけ、公認があれば絶対出たよな?

ついに政界引退かと思われた宗男氏でしたが、それについては否定して、
次の選挙には出馬して政界復帰を目指す意向を示した、ということですから、
ひょっとすると今回は病気をネタに隠れておいて、
ほとぼりが冷めた頃選挙に打って出るつもりかもしれません。

が、ここは今でも無罪を主張している宗男氏のこと。
勝てないからじゃない自分は間違ってない、と言いたいのでしょう。
自分の罪を最後まで世間に認めさせないためには、 負けることも、逃げることも許されない、 という彼の置かれた立場の辛さを物語っているように感じられました。
しかし、宗男氏にもし本当に次があるとすれば…?


 
それまで仕えてきた金丸の失脚以来、宗男は野中に
師事してきた。しかし、その野中も今期で引退する。


野中という大きな後ろ盾を失うことになった鈴木宗男。
そして今回、総選挙に出馬しないことによって影響力の低下は必至。

そんな宗男氏が、本当に次回の総選挙で勝とうとすれば、 どんな戦術があり得るのでしょうか。
政治に「もしも」は禁忌ですが、当地でささやかれている 「鈴木宗男の戦術」の噂 に触れてみたいと思います。

その噂によれば…、
今回の選挙では、北海道7区の後援会の票をすべて民主党の候補、 仲野博子に振り向ける。 鈴木宗男後援会の票があれば、仲野博子はおそらく当選。 そうすると北海道7区の自民党公認候補、北村直人は、大きく影響力を失う。 つぎの選挙で、胃ガンから回復した鈴木宗男が仲野博子と一騎討ち になれば、鈴木宗男は勝てると踏んでいる。

比例区での出馬と比較しても、どちらが勝算が高いか不明確ですが、
「そういうこともあるかもしれない」と思わせる所に、 鈴木宗男という代議士の凄みがあったのではないか、と私は考えています。

6期にわたる宗男氏の挑戦。彼に7度目のチャンスは用意されているのでしょうか。
それは道民に、ひいては国民に委ねられている。
それだけが事実なのです。


 
胃ガンの手術は無事終了。来期は本当に
国政に復帰することができるのだろうか。


宗男氏の今回の出馬辞退劇は、替え歌となって ダークな替え歌パロディソングス にも収録されています。
http://www.paroson.com/song/0164.html
まさか河村隆一の名曲を使わせるとは…!



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