小浅間
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引用本挿し絵 |
はるかむかしのことだ。 浅間山と富士山で山のつくりっこ競争をしたそうだ。浅間はおに、 富士はさるがつくることになった。
たいこの合図で始めて、夜明けに「ドーン」とまた合図がしたらおしまいと 約束しておいたそうだ。
おにとさるは、でっかいモッコに土を入れて、「ヨイショ ヨイショ」と一晩中積み 上げた。東の空がうっすら明るくなると、「ドーン」と終わりのたいこの音がした。
「しまった。 ひとモッコ上げそこなった。」と正直者のおには足もとに モッコの土を積まずにそのまま残した。
ところが、さるは合図にかまわず、ひとモッコ積み上げて、高さもかたちもいい 日本一の富士山を作りあげた。
浅間のおには、さるに負けたのがくやしくてくやしくて、 今でも時々おこりだして噴火(ふんか)しているんだそうだ。
浅間の横にある小さな山が、おにが積み残したひとモッコだ。
それは、「小浅間」と呼ばれている。 今も応桑にあるたくさんの小さな丘は、
そのときに用意した土山であるという。
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