A地区の発生
3月27日A酪連より雪印日野工場へ搬入された牛乳に風味異常が認められて、3月30日に同日のサンプルを雪印W課長が持参し改善を求めた。4月2日全コースのベビーローリーについて検査を実施した結果、北軽クーラーステーションのベビーローリーに異常が認められた。4月5日から7日にかけて北軽クーラーステーション関係のバルク乳すべてについて官能検査を実施した結果、68戸中12戸のバルク乳に異常が認められた。4月11日A酪連、家畜保健衛生所により対象農家と協議会をもつと同時に飼養管理について聞き取り調査を実施した。
その結果、配合飼料の多給傾向が強く、さらに給与飼料の養分総量を高めるために、脂肪含量の高い綿実などを添加している。
粗飼料給与はサイレージ主体であり、特にコーンサイレージの多給傾向が強い。
バイバス性飼料としての加熱大豆の利用も見られた。
このような実態を基に現状における飼養管理上の問題を整理すると
配合飼料を主とする濃厚飼料の多給
コーンサイレージの切断長が0.9mmと短く、さらにホールクロップであり成分量を的確に把握して給与しているかの疑問
利用価値の高い乾草、イナワラ等の粗飼料給与量が不足の傾向にある
高泌乳を求める過程で、給与量を高め、乳牛の生理に無理を生じている
4月17日酪連、農協等の全体会議が開催され、現状の把握と改善対策について検討され、改善対策の終始徹底を図るための座談会を関係農協において4月18日〜20日にかけて開催された。その後、各酪農家は飼養管理の改善につとめ、その成果としては酪農家ごとに若干の差は認められたが、早いもので7日間後より成果が認められ、5月に入ってより改善成果が早まり、5月11日には全戸全頭回復し、風味異常について終息した。
官能検査を実施した中での特徴としては風味の異なる牛乳中に潜在性乳房炎の問題が提起され、今後乳質改善の中で飼養管理の改善と併せて乳房炎対策の確立が強く意識づけられる。
なお、発生状況のうち戸数では80〜90%回復にほぼ20日間、頭数では14日間前後で回復に向いている。