K管内における技術的対応策

管内は他地域に比較して急速に乳量が伸びた地区で、昭和55年に比較すると毎年平均5%づつ伸展し、昭和60年成牛1頭当たりの搾乳量は6455Kgと高く、昭和55年に比較すると1.22倍と高い伸び率を示している。そして、多分にもれず乳肉複合経営が行われ変則的飼養にアレンジして搾りながら肥育してゆくとしう飼養法がとられ、濃厚飼料多給がみられた。なお、飼料については高泌乳指向から独自の自家配合が行われ、約64%に当たる酪農家が何らかの自家配合給与が行われていた。そして、結果的には地域の立地条件から粗飼料確保が少なく、流通粗飼料を加えても給与不足の傾向にあった。牛個体をみると過肥の傾向が強く、ほとんどの牛がオーバーコンディションである。また、栄養低位の農家が発生農家中にみられたことから、牛生理のアンバランスから生じたことが窺われる。

初発時の改善対策

牛の異常な生理をふまえ、健康な牛に1日も早く戻すことを第1義とする。

過栄養ならび粗飼料給与不足農家への対応としては、濃厚飼料を1時的に全廃して粗飼料を増給、飽食させ、第1胃機能の正常化を図ることにより牛体の回復をまつ。その期間を14日〜20日と予測する。風味異常が改善した農家に対しては増給した粗飼料はそのままにして濃厚飼料を1日5Kgを限度に給与するように指導する。

低栄養農家へは粗飼料給与を基盤としたバランスのとれた給与体系を指導した。

また、指導を進める中で胃整腸剤、ビタミン剤等の添加併用が云々されたが、草食動物の生理を基調に粗飼料給与指導にしぼり、他については積極的に進めない。

 

管内1部の農家にむみられたことであるが、バルククーラー攪拌のハネの回転数の過多が乳質に異常をもたらし脂肪の塊を生じたケースや、牛用飲用水中の硝酸態窒素含有が高く、水を変えたことにより風味異常が解消したケース等があり、風味異常乳問題が起きたことで、付帯的に問題事項が摘出改善される。潜在性乳房炎の発見などもこれと同様な副産物である。