家畜の血統及び健康保護法
第1章
総則
第1条 本法の目的
1.1 本法の目的は、家畜の血統及び健康の保護に関連する事項の調整にある。
第2条 家畜の血統及び健康の保護に関連する法規定
2.1
モンゴル国における、家畜及びその他諸動物の血統・健康の保護に関する法規定は、憲法・本法・これらと合わせ提出された法規定の各条項から成るものとする。
2.2
モンゴル国が行った国際契約において、本法の規定以外の項目がある場合、その国際契約に従うものとする。
第3条 用語説明
3.1
本法に使用される各語については以下のように理解する。
3.1.1 “血統及び繁殖のためのグループ”…人為的に作られた、出所を一にする、数の面で繁殖に足る、生物学的・経済的に利用価値のあるという点において当該の種の他の“血統及び繁殖のためのグループ”とは違った特徴を持ち、それを子孫に確実に受け継がせることのできる家畜グループ
3.1.2 “核グループ”…当該の種・系列・血統の家畜の優秀なグループの一つにあたり、繁殖の目的で選りすぐられ、また繁殖に適切なシステムを有するもの
3.1.3 “優良家畜”…当該の種・系列・血統の家畜のうち、繁殖やその他の点の一つもしくはいくつかの特徴において抜きん出ていることが明らかな家畜
3.1.4 “家畜医療及び繁殖に関する活動”…家畜の血統・健康を保護することを目的として行われる、利益・繁殖の質を向上させるための診断・調査・接種・排泄・調整・洗浄・治療、家畜から取れる各原素材及び飼料の質や衛生に関する検査と保証、環境安全評価と報告、専門的指導
3.1.5 “家畜の疾病への対処”…疾病の原因特定、感染範囲の確認と拡散防止、調査、禁制措置の実行、感染源である家畜の特定と隔離・治療・処分、温床部分の洗浄・消毒などの衛生処理、虫類や齧歯(ゲッシ)動物の処分、潜伏感染した家畜を特定するための科学的検査、温床部及び疑わしい地域の家畜に対する予防措置、禁制地の指定、抗寄生洗浄、排泄、調整などの処理
3.1.6 “予防”…家畜疾病の感染や各症状の出現前の禁制地指定、潜伏感染した家畜を特定するための科学的検査、疾病発生の原因除去、感染の可能性のある地域周辺の衛生処理などの対策
3.1.7 “禁制措置”…急激に拡散し被害をもたらす疾病が発生した場合、その温床となっている地域にそれらを留め根絶させるという目的で取られる厳密な対策
3.1.8 “特別伝染病”…モンゴル国内外において、急激に拡散し、人間もしくは家畜の健康を害し、国民の安全保障の面で悪影響を及ぼす伝染病
3.1.9 “疾病あるいは感染性の疾病を持つ家畜についての不可避処分”…公共及び所有者の利益を守るため、家畜の感染または特別伝染病の根源を絶ち、被害の拡大を防ぐという目的で、感染した家畜及び温床部にいる感染を拡大させる疑いのある家畜について、関連する法規定に則り行う処分
3.1.10 “遺伝データ保存”…家畜の血統を保護する、また繁殖に使用するという目的で行われる家畜の仔の保存
3.1.11 “血清保存”…伝染病の原因の長期間に渡る活動を調査するため、モンゴル国全土の家畜の種・年齢・性別それぞれについての血清を、毎年補充し保管すること
第4条 政府及び地方自治体の権利と義務
4.1
家畜の血統及び健康を保護する目的で、モンゴル国民大会議は以下のような権利を有するものとする。
4.1.1 家畜の血統及び健康を保護するための政策を立て、法律面の整備を行い、施行についての監視を行う。
4.1.2 家畜の血統及び健康を保護するための各活動・業務に従事する個人、また全ての法的機関を、政府の会計・融資・税についての各政策により支持する。
4.2
政府は、以下について全権をもってそれらを遂行する。
4.2.1 家畜の血統及び健康を保護するための政策・法律・各規定を実行する包括的な対策を立て、法律に示された支出についてその調整を行う。
4.2.2 家畜群を、自然災害や突発的なその他の危険、疾病などから事前に守り、それらの健康を保たせ、家畜からもたらされる利益や血統の質を向上させるための対策を取る。
4.2.3 絶滅の恐れのある家畜・動物について、それらを特別に保護する対策を講じ、実行する。
4.2.4 家畜の疾病に対して使用する薬剤やその他の装備を常に確保し、それらの使用規則を定める。
4.2.5 家畜から人間に伝染する疾病が発生した場合、関連工場や各実験場のうち、閉鎖地帯とするものを定める。
4.2.6 モンゴル国内でそれまでに発生したことのない、社会及び経済に被害をもたらすような疾病、もしくは性質等が明らかでない疾病が発生した場合、それらについての対策を取る。
4.2.7 国有財産である家畜の核グループの血統を保護する。
4.3
農牧業に関する問題を管理する行政の中央機関(以後「行政の中央機関」と呼ぶ)は以下について全権を持ってそれらを遂行する。
4.3.1 家畜の血統及び健康を保護する法律、各規定や政府決定を実行する。
4.3.2 家畜医療繁殖局を政策に基づき総合的に管理する。
4.3.3 科学及び技術的プロジェクトを立ち上げ、実行状況について審査する。
4.3.4 家畜医療や衛生管理、家畜の繁殖・牧養技術等に関連する各規定、基準を定める。
4.3.5 禁制措置・各制限について決定し、また家畜及びその他諸動物の報告義務のある疾病についてのリストを作成する。
4.3.6 家畜の新しい血統、血統及び繁殖のためのグループ、各系統及び血統、また感染源となった家畜の血統、治療対策の遂行等の事柄を、審査の上確認する。
4.3.7 本法 4.3.6 に則り保証された、またはモンゴル国において繁殖している種、血統及び繁殖のためのグループ、系統の家畜を登録し、審査の上確認する。
4.4
各アイマグ(県)・首都・ソム(市町村等)・ドゥーレク(地区)の代表者会議は、以下について全権を持ってそれらを遂行する。
4.4.1 地方の管理下において、家畜の血統及び健康を守るための対策となる計画や指針、プロジェクト、またサービスの標準料金を定め、家畜疾病に対処するにあたり必要な薬剤や装備などを常備し、本法に定めた他の活動の経費について、その使用に対する審査管理する。
4.5
アイマグ(県)・首都・ソム(市町村等)・ドゥーレク(地区)の行政は以下について全権を持ってそれらを遂行する。
4.5.1 家畜医療及び繁殖に関する活動について、当該の地方の家畜のすべてを対象とし、それらを契約及び予約により行う。
4.5.2 本法 15.2.1に示した業務に対する料金、15.2.1、15.2.3 で規定した費用、15.2.4にあるアイマグ(県)・首都・ソム(市町村等)・ドゥーレク(地区)の審査管理、アイマグ及び首都の繁殖局における家畜医療・衛生管理・製品品質検査の従事者への給金、その他活動支出は地方予算とし、それらの使用に際して審査管理する。
4.5.3 本法 15.1.2及び15.1.3に示した疾病の、予防対策の対象となる家畜の種類・数・必要経費を考慮し予算を組む。
4.5.4 家畜から人間に伝染する疾病に対処し、またそれらを予防し、回復させるための各対策を実行する。
4.5.5 核グループを維持し、繁殖のための家畜の飼育及び売却について援助し審査する。
4.5.6 家畜医療及び繁殖に関わる活動についての会計書類を提出させ、審査する。
4.5.7 禁制措置の対象となる家畜疾病が発生した、もしくは発生の可能性のある地域についての情報を公開する。
4.5.8 ソム(市町村等)・ドゥーレク(地区)内及びそれらの地域間で家畜の移動禁止について、その監視のための対策を講じ実行する。
4.5.9 自然災害、突発的なその他の危険や伝染病等、家畜に被害が及ぶような事態となった場合、その拡大を防ぐと同時に、個人や法的機関と総力を結集し、その被害の復旧に努める。
4.5.10 地方自治体所有である家畜の核グループの血統を保護する。
4.5.11 疾病を持つ家畜の避けられない理由による処分については、ソム(市町村等)、ドゥーレク(区)の最高行政責任者らが責任を持ってそれを行い、また本法 14.1.4、14.1.5、14.2.1、14.2.9に規定した義務の遂行を根拠とし、15.1.4、15.2.2に示した金額の支給について決定する。
第2章
家畜の血統及び健康保護に関わる諸活動の管理
第5条 家畜の血統及び健康保護を実行する者または団体
5.1
家畜の血統及び健康を保護するための専門的活動については、家畜医療繁殖センター、アイマグ(県)及び首都の家畜医療繁殖局、地方の各活動単位、また家畜医療・衛生管理・製品品質についての研究機関がそれぞれ行う。
5.2
家畜医療繁殖センターについては政府が、またアイマグ(県)及び首都の家畜医療繁殖局については関係する行政最高責任者らが管理運営する。
5.3
ソム(市町村等)及びドゥーレク(区)においては、家畜医療及び繁殖に関連する地方の各活動単位がその業務を行う。
5.4
家畜医療及び繁殖に関連する地方の各活動単位については、それらがどのような形態の法的機関であってもよいものとする。
第6条 家畜医療及び繁殖に関わる活動を行う組織の権利と義務
6.1
家畜医療及び繁殖に関わる活動を行う組織は、所属する地方の管理下において、以下のような権利と義務を有す。
6.1.1 家畜疾病についての対処や予防と並び繁殖活動の面でも、毎年行う対策を計画し、プロジェクトを立ち上げ、それらを管理実行する。
6.1.2 家畜医療及び繁殖に関わる活動についての技術理論に則って業務を行う。
6.1.3 家畜及び家畜から取れる各原素材について、品質・家畜医療・衛生に関する検査を行い、それらの品質を保証する。
6.1.4 家畜疾病について、適切な規定に則りその診断を下す。
6.1.5 家畜の血統及び健康に関連する情報を利用者に提供する。
6.1.6 家畜を所有する法的機関に対し、専門的な援助を行い、科学技術面での発見があればそれを浸透させる。
6.2
家畜医療繁殖センターは、本法6.1に規定したものに加え、以下のような権利と義務を有す。
6.2.1 アイマグ(県)及び首都の家畜医療繁殖局に対し、専門的知識などをもとに指導を行う。
6.2.2 家畜医療や衛生管理、家畜の繁殖・牧養技術等と関連した法規定・指標・基準についての計画を立て、行政の中央機関の審査を受け、農牧業問題を司る政府のメンバーの承認を得る。
6.2.3 家畜の遺伝データ保存と血清保存を行い、家畜の血統及び健康保護に関する情報のシステムを整備し機能させる。
6.2.4 家畜疾病の対処及び予防、また家畜繁殖の面で毎年執り行う対策についての会計、リスクに関する評価を行う。
6.2.5 行政の中央機関の許可を得、諸外国の専門局や専門組織と、家畜医療及び繁殖に関する活動の面での協力について交渉及び契約する。
6.3
アイマグ(県)首都の家畜医療繁殖局は、本法6.1に規定したものに加え、以下のような権利及び義務を有す。
6.3.1 地方の各活動単位に対し、専門的知識などをもとに指導を行う。
6.3.2 家畜医療及び繁殖に関連する活動について、アイマグ(県)・首都の行政最高責任者らと契約を結び業務を行う。
6.4
地方の各活動単位は、本法6.1に規定したものに加え、以下のような権利及び義務を有す。
6.4.1 当該地方に常に定留し、家畜医療や繁殖に関連する活動を行う。
6.4.2 家畜医療や繁殖に関連する活動について、ソム(市町村等)ドゥーレク(区)の行政最高責任者、サービスを受ける個人及び法的機関と契約を結び業務を行う。
6.4.3 家畜疾病について、予防検査・接種・排泄・洗浄・調整・消毒等を適切な法規定に基づき執り行う。
6.4.4 全ての家畜群について調査をし、核グループ・優良家畜を選び、また審査にかけ、家畜の質を向上させるとともに血統を保護する。
6.4.5 核グループ・去勢されていない雄の家畜・優良家畜を登録し、証明書を発行し承認を受ける。
6.4.6 疾病を持つ家畜を調査し、隔離或いは治療し、必要であれば禁制地を指定し、それらを処分することについての根拠をソム(市町村等)ドゥーレク(区)の行政最高責任者に対して示す。
第7条 家畜治療及び繁殖に関わる活動を行う権利の授与・保留・剥奪
7.1
経済活動特別認可法の15.11.8に規定した家畜医療及び繁殖に関わる活動の権利については、目的にかなう技術設備・専門知識を有する個人、あらゆる形態の法的機関がその対象たり得るものとする。
7.2
特別認可については、モンゴル国及び地方の管理下で家畜医療や繁殖に関わる活動業務を行う個人または法的機関に、ソム(市町村等)またはドゥーレク(区)の行政最高責任者がそれぞれ与える。
7.3
特別認可を受けるにあたり、経済活動特別認可法の11.11〜11.14で示したものに加え、以下のような書類を作成する。
7.3.1 モンゴル国及び地域の管理下において活動業務を行う場合は中央審査局、地方自治体の管理下において活動業務を行う場合はアイマグ(県)や首都の審査局が定めた各項目についての書類。
7.4
家畜医療及び繁殖に関連する専門的な業務は獣医が行う。また、獣医は専門性についての認証を得ている。
7.5
特別認可の授与・期間延長・保留・無効を決定する、またそれらに関連し発生した諸問題については、経済活動特別認可法6.2〜6.4、また第12条・第13条・第14条・第17条に規定した内容に則り調整する。
7.6
本法7.2に示した特別認可については、許可を与えた日から5年間それらを有効とする。
7.7
本法7.4に示した認証は、行政の中央機関が認定した専門チームが与える。
第3章
家畜の血統及び健康を保護するための活動に対する国による審査監督業務
第8条 家畜の血統及び健康を保護する活動に対する審査監督組織
8.1
家畜の血統及び健康を保護する活動に対する国による審査監督(以後「国による審査監督」とする)についての部局(以後「審査局」とする)を中心に、地方自治体の各局、特別局から成る。
8.2
中央審査局については、政府がこれを開設する。
8.3
地方審査局は、アイマグ(県)及び首都の行政最高責任者直属の審査局、ソム(市町村等)またはドゥーレク(区)の各役所に勤務する家畜医療及び繁殖専門の監視員などから成る。
8.4
国家総合監視員については、国家監視員の行政審査法、第21条の1〜6の規定に則りそれを任命し、また解任する。
8.5
国境地帯や奥地など必要な場所には特別審査局を設ける。これらの特別局は、中央審査局直属とする。
第9条 国による審査監督及びその構成
9.1
国による審査監督とは、家畜の血統及び健康保護についての各法規定、またそれらと合わせ提出された決定の実行、家畜医療及び繁殖に関連する活動業務の技術的合法性を審査し、より適切なものへと指導するものである。
9.2
家畜の血統及び健康保護についての国による審査監督については、各レベルの行政最高責任者が統括する。
9.3
国による審査監督には、モンゴル国の管理下では国家総合監視員・国家高等監視員・国家監視員が、ソム(市町村等)・ドゥーレク(区)、国境地帯や奥地の審査支部等には国家監視員がそれぞれ当たる。
第10条 審査局の権利と義務
10.1
審査局の国家監視員は、行政審査監督法第21条第7項〜第9項に規定した権利に加え、以下のような権利及び義務を有す。
10.1.1 家畜医療及び繁殖に関する活動業務について、技術設備の面での審査を行う。
10.1.2 疾病の発生した地域の家畜が飼育される際の育舎・柵内・水・放牧地・飼料について、また家畜から取れた各原素材・食料品を準備及び加工・保管・輸送・販売する過程において、家畜医療、或いは衛生管理に関する検査が行われているかどうかについての審査を行う。
10.1.3 人間の健康に害を及ぼす疾病の感染ありと特定した家畜から取られた各原素材・食料品を市場に供給すること、或いはそれらを使用して加工生産や各作業が行われることを中止させ、国外流出を禁止し、必要であれば回収の上処分など、各対策を取る。
10.1.4 家畜医療及び衛生管理に関する基準を満たしていない施設で、家畜から取れる各原素材・食料品・飼料を準備及び加工することを禁止する。
10.1.5 家畜医療に用いる薬品や装備品、また、感染源となった血統やその仔について、それらの生産・保管・輸送・販売・使用の過程を審査監督する。
10.1.6 疾病に感染した家畜について、それらを繁殖に使用することを禁止する。
10.1.7 家畜を所有する個人または法的機関について、核グループ或いは優良家畜が選択され審査を経て承認される過程における監督業務を行う。
10.1.8 核グループの家畜の特徴の方向を変更する、繁殖家畜やその仔、感染源となった血統の家畜を国外へ、または国内へ移動させる際に許可を得ているかを確認する。
10.1.9 基準を満たしていない家畜を繁殖の目的で利用すること、血統の質を下げる行為を禁ずる。
10.1.10 核グループ、繁殖家畜及び優良家畜の登録をし、家畜の増え具合について審査確認する。
10.1.11 家畜から取れる各原素材や、それらから作る食料品の品質について審査する。
10.1.12 家畜医療及び繁殖に関する活動、また家畜の仔、薬品・医療装備、感染を拡大させる恐れのある産業行為、飼料生産、薬品・医療装備の輸入、家畜及び家畜から取れる各原素材に関わる産業行為などについて、個人及び法的機関が提出した申請を審査し、評定を下す。
10.1.13 家畜医療及び繁殖に関する活動、また家畜の仔、薬品・医療装備、感染を拡大させる産業行為、薬品・医療装備の輸入に関わる事項についての許可、獣医に与える認証の保留或いは剥奪についての根拠及び評定結果を、それら認可及び認証を与える権利を有する諸機関・役人に提出し、決定を受ける。
10.2
中央審査局は、行政審査監督法第20条第3項及び本法11.1に規定されたものに加え、以下のような権利と義務を有する。
10.2.1 行政の中央機関の許可を得、家畜医療及び繁殖に関する活動、衛生管理及び禁制措置について、諸外国及び各国際組織と交渉し契約を結ぶ。
10.2.2 家畜、それらから取れる各原素材及び製品、飼料について、それらの輸入に伴うリスクに関する評定を下す。
10.2.3 アイマグ(県)及び首都の国家高等監視員または国家監視員の専門知識を維持させる。
10.3
審査局の監視員は、行政審査監督法第23条第1項に示した承認を与えられている。
10.4
特別審査局の監視員は、行政の中央機関により承認された、特別なマークの付いた制服を着用する。
第11条 家畜医療に関する禁制措置
11.1 家畜伝染病及び特別伝染病が発生した場合、本法5.1に規定した関連機関の判定を根拠とし、アイマグ(県)・首都・ソム(市町村等)・ドゥーレク(区)の行政最高責任者が、禁制措置に関する決定を下す。
11.2 二つ以上のアイマグ(県)において、或いは水路及び鉄道の駅・空港・国境・国道及び国有の家畜道において特別伝染病が発生した場合、家畜医療繁殖センターによる評定を根拠に政府が禁制措置に関する決定を下す。
11.3 禁制措置が取られた場合、各レベルの行政最高責任者は、人材及び資金を準備し、疾病に対する必要な対策を講じ実行する。
11.4 禁制措置が取られた地域からやむを得ず出る者及びその際の移動手段について、審査局の承認を得、消毒などの処理を行う。
11.5 感染源が完全に絶たれ、家畜医療及び衛生管理の各対策が取られた後、禁制措置の決定を下した組織或いは役人の判断で、禁制措置は解除される。
第12条
国境での家畜及び家畜から取られる各原素材についての対処
12.1
国境または国境地域にあるソム(市町村等)の国家監視員は、家畜及び家畜から取られる各原素材・製品・飼料・その他を介し、家畜或いは人間に感染する疾病が、本国の国境を超えることを防ぎ、国境を超える者を監視する。
12.2
家畜及び家畜から取られる各原素材・製品・飼料については、モンゴル国と当該国においてその権利を持つ組織との間で取り交わした契約及び交渉結果の規定に則り、また、管轄部署及び当該国においてその権利を持つ組織の発行した証明書と共に国境を超えることが出来るものとする。
12.3
国境地帯の国家監視員は、諸外国からモンゴル国へ輸入される家畜及び家畜から取られる各原素材・製品・飼料に対し、当該国でその権利を持つ組織が発行した証明書をその根拠とし、家畜医療及び衛生管理に関する輸入証明書を発行する。
12.4
モンゴル国に隣接した諸外国から放牧により国内に入る家畜に関連する事柄については、その権利を持つ両国の各組織の間で取り交わした交渉結果及び行政の中央機関の承認を基に、中央審査局の国家監視員が、関税及び国境審査機関の担当官と共に決定する。
12.5
証明書はあるが移動過程で伝染病の兆候が見られた家畜、傷んだ原素材及び飼料、破損した製品について、それらが国境を超えることを禁止する。
12.6
本法12.5に規定した家畜、傷んだ原素材及び飼料、製品については、追加審査するという目的で21日間迄国境に留まらせる、全体もしくは一部を処分するなどの対応についての決定が下される。
12.7
本法12.5及び12.6に規定した事柄の調整に関する規定については、行政の中央機関がそれを審査承認する。
12.8
国境地帯において特別伝染病が発生した場合、国境の往来を中央審査局の評定を根拠とし、また政府決定に則った形で一定期間禁止するなどの対策を取ることもあり得る。
12.9
家畜の健康に関する国際機関が定めた“A”リストにある疾病の温床部がある国及び地域より、家畜及び家畜から取られる各原素材・製品・飼料をモンゴル国へ輸入する場合、本法10.2.2に規定したリスクに対する評定を根拠に決定を下すものとする。
第4章
家畜の血統及び健康の保護にあたり、
個人または法的機関が有する権利と義務
第13条
個人及び法的機関の有する権利
13.1
個人及び法的機関は以下のような権利を有す。
13.1.1 家畜医療及び繁殖に関する活動業務について、法規定に則りそれを行う。
13.1.2 家畜医療及び繁殖に関する活動業務を依頼する機関を選択する。
13.1.3 優良家畜及び核グループから家畜を育てる、また仔を取引する。
13.1.4 家畜が避けられない理由で処分されたことにより生じた損害に関して、ソム(市町村等)及びドゥーレク(区)の行政最高責任者による決定を受ける。
13.1.5 家畜医療に関する検査を受ける。
第14条
個人及び法的機関の負う義務
14.1
個人及び法的機関は以下のような義務を負う。
14.1.1 家畜を屠殺する、また家畜から取れる各原素材及び飼料を準備し作業するにあたり、衛生管理についての基準を満たした施設・貯蔵所・環境においてそれらを行う。
14.1.2 家畜及び家畜から取れる各原素材やそれらから作る製品、家畜飼料をアイマグ(県)・首都・ソムの各地域から移動させる、市場に供給する、輸送する、受け取る、国境においては家畜医療及び衛生管理に関する検査を受け証明書を受け取る。
14.1.3 禁制措置についての規則を遵守する。
14.1.4 家畜疾病に対処し、血統を保護するための活動を行うにあたり、行政の中央機関及びその権利を有する他の機関による決定、規定を遵守する。
14.1.5 家畜に伝染病の兆候が現れた、または急激に多くの家畜が死んだ場合、地域の各活動単位や組織、委員会に12時間以内に報告する。
14.2
家畜を所有する個人及び法的機関は、以下のような義務を負う。
14.2.1 家畜医療及び繁殖に関連する活動について、定められた期間を守り家畜を移動する。
14.2.2 家畜の育舎及び周辺環境の衛生管理と消毒・牧養・飼育に関して、設備面での基準を満たす。
14.2.3 家畜の質、繁殖水準を向上させる。
14.2.4 健康であり、且つ承認を受けた家畜を繁殖させる。
14.2.5 核グループの家畜及び優良家畜にマークや数字を当て、また繁殖に利用する家畜の血統と繁殖についての登録を行う。
14.2.6 群れを増やすための繁殖に利用する家畜を核グループより育て、地域の各活動単位による審査を受け承認を得た上で繁殖に利用する。
14.2.7 核グループの家畜の特徴の方向を変更する、繁殖に利用する家畜及びその仔、感染源となった血統を国内から国外へ、またその逆へ移動させる場合、中央審査局の承認を得る。
14.2.8 避けられない理由により一定期間導入された措置の結果として発生した損害、また、この理由により重ねて取られる措置に際し必要な支出を引き受ける。
14.2.9 家畜を自然災害から守るための適切な処置をしておく。
第5章
その他
第15条
家畜の血統及び健康の保護に関する活動の予算
15.1
家畜の血統及び健康の保護に関連する以下にかかる費用は、中央国家予算より支出されるものとする。
15.1.1 国際獣疫機構が定めた“A”リストにある疾病への対策
15.1.2 家畜の炭疽熱・狂犬病・ブルセラ症・サルモネラ症・出血性敗血症・結核・白血病・インフルエンザ・赤痢・リステリア症・気腫疽・悪性カタル熱・エフェメル・チチレグ(破傷風の一種で痙攣を伴う伝染病)・馬の鼻疽・伝染病貧血・伝染性胸膜炎・伝染性気管炎・鼻疽・羊及び山羊のエンテロトキセミア・エンテロバクター症・ブレゾト・伝染性無乳症・膿瘡・大腸菌症・山羊の伝染性胸膜炎・豚丹毒の予防、診察に伴い処方される薬品
15.1.3 家畜につく吸血虫が原因で感染する疾病・吸血虫がわく類の疾病・疥癬の予防に使用するための薬品
15.1.4 感染した家畜の避けられない理由による処分作業、またその家畜所有者に対するモンゴル国での時価の90%の支払い
15.1.5 家畜の遺伝データ保存と血清保存
15.1.6 本法4.2.2及び4.2.6に規定した対策
15.1.7 家畜医療繁殖センター及び中央審査施設の設立とそれらに伴う家畜医療や衛生管理、製品の検査業務、従事者への賃金支払
15.2
家畜の血統及び健康の保護に関連する以下にかかる費用は、地方予算より支出されるものとする。
15.2.1 本法15.1.2に示した疾病の予防、諸業務
15.2.2 感染した家畜の避けられない理由による処分を行った際の、家畜所有者に対する当該地方での時価の40%の支払い
15.2.3 核グループの家畜の血統保護、家畜の経済的・生物学的な価値を上昇させるための活動、家畜の繁殖結果の審査
15.2.4 アイマグ(県)・首都・ソム(市町村等)・ドゥーレク(区)の国家監視員の、またアイマグ・首都の活動担当の各局、それらに付設される家畜医療・衛生管理・製品品質検査の従事者への賃金支払、活動による支出
15.3本法15.1、15.2の規定以外の家畜医療及び繁殖に関わる活動については、サービスを受けた個人または法的機関が、その費用を支払うものとする。
第16条
法規定の違反者に関する規則
16.1
家畜の血統及び健康を保護するための法規定に違反した者については、過失・違反状況やもたらした被害の大きさを考慮して、刑事的及び行政的責任を問う。
16.2
本法の以下に示す条項に違反した者については、国家監視員が、以下のような行政決定を下す。
16.2.1 本法6.1.3、6.4.2、14.2.4、14.2.5に違反した個人及び役人には10000トゥグルク以下、法的機関には80000トゥグルク以下の罰金
16.2.2 本法14.2.6、14.2.8 に違反した個人及び役人には20000トゥグルク以下、法的機関には150000トゥグルク以下の罰金
16.2.3 本法14.1.5、14.2.1に違反した個人及び役人には20000トゥグルク以下、法的機関には50000〜80000トゥグルクの罰金
16.2.4 本法14.2.7に違反した個人及び役人には20000トゥグルク以下、法的機関には150000トゥグルク以下の罰金
16.2.5 本法14.1.2に違反した個人及び役人には5000〜50000トゥグルク、法的機関には250000トゥグルク以下の罰金
16.2.6 本法4.5.1、6.1.1、6.1.2、6.1.5、6.4.3、6.4.6に違反した個人及び役人には50000トゥグルク以下、法的機関には20000〜250000トゥグルクの罰金
モンゴル国民大会議長
L.エネビッシュ