家畜生化研報、26、43〜53(1991)
搾乳牛における血清脂質、過酸化脂質と生体内抗酸化因子の分娩泌乳に伴う変動を観察した。
血清総コレステロール、リン脂質濃度は分娩末期に漸次減少したが、分娩後に急激に増加し、泌乳末期に漸減した。
血清過酸化脂質濃度はほぼ血清脂質濃度と同様な推移を示したが、その変動は血清脂質に比較して小さいものであった。
血清αートコフェロール、セレニウム濃度は血液グルタチオンペルエキシダーゼ活性は分娩末期に減少したが、分娩後に急激な増加が認められた。
血液カタラーゼ活性は分娩前後をつうじて大きな変動はみられなかった。
血清スーパーオキシドジスムターゼ活性は乾乳期に比較して分娩後に減少する傾向がみられた。
これらのことから、泌乳期に血清αートコフェロール、セレニウムが高濃度に持続した結果、これら抗酸化剤によってスーパーオキシドジスムターゼ作用による脂質過酸化抑制作用が代償された可能性が考えられる。