管内においても肉用牛肥育農家からビタミン測定依頼が多くなりつつあります。
この10数年来、ビタミンAと肉質との関係が取り沙汰されてきましたが、
私見としては、あまり肯定的な意見はありません。
もともとは筋肉水腫との関係で肉用牛のビタミンの仕事が精力的に行われてきましたが、
その際、ビタミンAと枝肉等級との相関が副産物的に浮上しました。
ご存知のように、肉用牛にビタミンAの前駆物質であるβカロチンを多給すると、
脂肪にカロチンが移行して脂肪品質の低下を招くことは知られていました。
そのため、以前から肥育農家においてはβカロチンを多量に含む飼料給与を極端に嫌っていたのは事実です。
その飼料体系が、肉牛のビタミンA欠乏症を誘起し、失明や水腫となって病状が現れてきました。
その際、失明や水腫の一歩手前の状態がサシの入った枝肉を生み出す、、
という伝説になった様にも見うけられます。
このサシは基本的には遺伝的要因によるところが大きく、私は一種の老化であろうと考えています。
つまり、代謝の早い牛、ビタミンA消費の早い牛がよくサシが入ったのではないか、、とも考えられます。
ビタミンA欠乏はサシの原因ではなく、サシの結果と考えています。
ですから、不必要にビタミンを多給することはありませんが、
いたずらに、人為的に、ビタミン欠乏を誘起させるのではなく、
育成時に充分ビタミンを肝臓に貯蔵させ、肥育前期〜中期を過ごし、後期にビタミンを補給することが肝要です。

最近の肉用牛血漿中ビタミンA検査結果(肥育前期〜中期)

家畜保健衛生所で簡単にできる
特殊な器具、機材を用いないビタミンA測定法(鈴木、加藤の方法)


血清1ml+エタノール1ml+ヘキサン3ml

攪拌後

ヘキサン層採取

453nm,325nmのOD値を分光光度計で測定
計算方法
βカロチン濃度(μg/dl)=OD453nmの吸光度/0.00258
ビタミンA濃度(μg/dl)=(OD325nmの吸光度−βカロチン濃度×0.00017)/0.00182

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