□□□土だんご□□□ | ◆ヨッちゃん◆ |
ヨッちゃんの家では稲刈りが始まりました。 親類のおじさんやおばさんも手伝いにきました。 いとこのタッちゃんもきました。 ヨッちゃんは5才、タッちゃんはひとつ年上の6才です。 ヨッちゃんもタッちゃんも手伝います。 でも鎌は持たされず、おじさんたちが刈り取った稲を集めて束にするのが仕事です。 2人ともいっしょうけんめい働きます。 お茶の時間になり、大人の人達が休む時になると、2人はいっしょになって遊びに行きます。 タッちゃんが土だんごの作り方をヨッちゃんに教えます。 「こうやって粘土みたいな土をまるめてね、その上に乾いたじゃり砂をこすりつけるんだよ。 ホラ堅くなるだろう?そしたら、かわるがわる湿った土と乾いた土をすりこむようにこするんだよ」 ヨッちゃんはタッちゃんに教わりながら作りました。 でも最初はうまくいかずヨッちゃんがちょっと力を入れると土だんごはすぐくずれてしまいます。 ヨッちゃんはいくつも作りました。 やがてお茶の時間も終わりふたたび稲刈りが始まりました。 |
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その日の稲刈りが終わるとヨッちゃんは特にうまく作れた土だんごを2つ選んで 茶ダンスの引き出しに新聞紙をしいて入れておきました。 その日からその土だんごはヨッちゃんの宝物になったのです。 ヨッちゃんは毎日何度も引き出しをあけて、土だんごが崩れていないか どうか調べました。 そして毎日新聞紙にたまった土を捨てました。 ヨッちゃんの宝物にはいつもきれいな新聞紙の中にいてもらいたかったのです。 そうして1週間がたち、10日が過ぎました。 |
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ヨッちゃんは土だんごの事をすっかり忘れていました。 ある日ヨッちゃんは新しい宝物の「赤いガラスのかけら」を拾い、 それをしまおうとして引き出しをあけました。 ヨッちゃんはそこにザクロのように割れた土だんごを2個見たのです。 「土だんごさん、ごめんなさい」 ヨッちゃんはくずれた土を新聞紙に包み、その土があった場所に行き 土だんごをもとどおりにもどしました。 (土だんごはやっぱりもとの場所がいちばんなんだろうな?) とヨッちゃんは思いました。 |
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おしまい | ||
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