加齢黄斑変性の治療
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加齢黄斑変性に対するPDT
1.加齢黄斑変性とは

 網膜は、カメラのフィルムに相当する大切な組織です。その網膜の中で、中心の黄斑とよばれる部位が障害されるのが、加齢黄斑変性です。景色の中心が歪んで見えたり、中心が暗くなったりするため、日常生活に支障がでてきます。欧米では、以前からこの病気が多かったのですが、最近、日本でも増加傾向にあります。

   

正常な黄斑部

加齢黄斑変性症

変視症 中心暗点
2.PDT(Photodynamic Therapy)とは

 光線力学的療法と訳します。光が当たると化学反応を起こす薬剤(光感受性物質)をまず、静脈に注射しておきます。薬剤が網膜の変性部に集まったところで、レーザー光線を照射します。レーザー装置は、この薬剤にぴったりした波長(689nm)だけを発生する専用機で、一千万円します。このレーザー装置を使うと正常な網膜を障害する心配がありません。病気の変性部だけに化学反応を起こさせるのです。そのため、従来のレーザーのような副作用がないのです。当院では、群馬大学眼科に続いてこの治療法を導入しました。

   

       加齢黄斑変性の蛍光眼底造影

PDTの原理
   
3.PDTの問題点

 理論的には、すばらしい治療法ですが、問題点もあります。まず、効き目ですが、病気を治すまでは、ゆきません。目標は、悪化予防です。この治療をしても年齢が進むと悪化する可能性が報告されています。少しでも、進行を遅くできれば良いと考えてください。次の、問題点は、二日間の入院が必要なことです。薬剤が、体から出てしまう48時間は、遮光するための入院が原則です。退院後も、しばらくの間は、強い光に当たらないために、サングラスや、帽子、長袖服などが必要です。最後の問題は、費用です。入院治療費が総額で数万円(保険1割の人)、十数万円(保険3割の人)もかかる事です。このような高額になると後で、高額医療費の払い戻しが受けられる人もあるのですが、やはり、大変な問題です。しかし、平成16年までは、アメリカまで行かないと受けられなかった治療法が、日本で保険適応になったのですから、安くなったとも考えられます。アメリカでは、保険が利かないので数十万円なのです。

   

サングラス、帽子、長袖服など

遮光が必要
   
.これから

 加齢との戦いは、極めて困難な問題です。病気の早期発見には、OCT(光干渉断層計)や、高感度な蛍光眼底造影のできるSLO(走査型レーザー検眼鏡 :2200万円)が有利です。PDTの適応外のタイプには、ダイレーザー(色の波長を変化させることができるレーザー装置 :2200万円)や、TTT(経瞳孔温熱療法:1000万円)も必要です。当院では、これらすべてを揃え、今後さらに、新しい治療法を導入して行きたいと思っています。

   

SLOによる蛍光眼底造影

 

TTT(温熱レーザーによるソフトな凝固法)
 
レーザーの波長と吸収率

 

5.新治療:アバスチンの説明

 

 

 アバスチンの説明と同意 

病気の時に目の中にできる血管を新生血管と呼びますが、これを抑える薬がこれまでありませんでした。アバスチンは、大腸癌を抑える薬ですが、これを眼内に注射すると新生血管を抑える報告がアメリカでありました。日本では、厚生労働省には認可されていませんので、当院でアメリカから輸入することにしました。そこで、以下の説明をして同意できた人のみ使用することにします。
適応は、加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症などです。
病態は、眼内の血管新生や浮腫で、病変部位は、脈絡膜、網膜、隅角です。
研究では、加齢黄斑変性の黄斑下血管新生や浮腫
     糖尿病性網膜症の新生血管や浮腫のほか血管新生緑内障
     網膜静脈分枝閉塞症の黄斑浮腫
     その他の血管新生や浮腫など
薬品名は、
bevacizumabで、抗VEGF(血管内皮増殖因子)に分類され、本来は大腸癌の薬です。副作用は、稀に眼内の細菌感染や、眼圧上昇、網膜裂孔の報告がありますが、長期予後はまだ不明です。効き目は、約2ヶ月と考えられていますが、不明点もあります。
やり方は、角膜から
3.5ミリメートルの部位から、細い注射針で0.05mlを注入します。
指示された日に来院すること、何か変わりがあったら来院することが大切です。

以上、アバスチンは、未認可の薬ですが、眼内の新生血管や浮腫に有効の可能性があることを説明しました。

説明者  住所 高崎市新町78番地
     施設 田中眼科医院
     担当 臨床倫理委員会 代表 田中隆行

 

 

6.ルセンティスの治療と説明

 

加齢黄斑変性症は、網膜の中心部である黄斑が障害され、視力低下や変視症などが起こり視野の中心が見づらくなる病気です。黄斑部の脈絡膜から新生血管と呼ばれる異常な血管が生えてくるタイプの滲出型は、症状の進行が速く、急激に視力が低下していきます。この新生血管は破れやすいため、黄斑が出血したり、むくんだりして、物を見る細胞の機能が障害されていきます。 ルセンティスは新生血管の成長を活発化させる体の中のVEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きを抑える薬で、この薬を眼内に注射することで新生血管の増殖や成長を抑える効果があります。

−治療内容−

 ルセンティスによる薬物療法は、導入期と維持期で異なります。導入期では、月1回ルセンティスを眼内に注射します。これを3ヶ月間繰り返します。その後の維持期は、病状の経過をみながら、必要に応じて注射します。 治療当日は、眼や眼の周りを十分消毒し、麻酔薬を点眼後、角膜から3.5ミリメートルの部位から細い注射針で0.05ml.を注入します。治療を受ける前3日間と受けた後3日間は、注射部位への感染予防のため抗菌点眼薬を点眼していただきます。

−副作用−

 稀に眼内の細菌感染や、眼圧上昇、視力低下、眼痛、網膜出血、一過性視力低下などの報告があります。全身性の副作用としては、脳卒中が報告されています。以前に脳卒中または一過性虚血発作を疾患としてお持ちの方は、事前に医師に伝えてください。 指定された日に来院すること、治療後に視力低下やからだに異常が起きたなど、何か変わりがあったら来院することが大切です。


−費用−

 3割負担の人: 3回分で約162,030円、その後の追加は、1回分で54,010円。

 1割負担の人: 3回分で約36,000円、その後の追加は、1回分で12,000円。