なんだか寂しい

85歳になる母は1階
妻と私は2階で暮らしている

庭先にいた飼犬が18歳で死に
隣室にいる娘が結婚の準備を始め
家を空けるようになると
母はなんだか寂しいと
帰宅する私につぶやいた

私は娘の部屋に布団を運び
母の気配を感じながら眠ることにした

朝30分程のジョギングを済ませ
2階で食事をしていると階下から
有り難いけれど大丈夫だからと
母が妻に話しかける声が
微かに聞こえてきた




フィリップ・ドゥ・シャンパーニュ作