第二章 天井裏


ぼくは天井裏に
じっとしている
暗闇に一条の光が差し
それが瞳孔を照らしている

蜘蛛が
糸を震わせているが
瓦は
青空の下
動きはしない



瞳孔が小さく丸まって
畳の擦れる音を吸い込んだ
現実は遠く後ずさりして
鼻腔の奥に
埃に混じって
土筆の胞子が粘りつく



振動が蜘蛛の巣に伝わると
咽喉が大きく上下する

コンロの上のやかんから
蒸気が立ち昇り
カタカタ音を立ててはいるが
回りはいよいよ静かになって
猫は大きなあくびをする