第五章 デモ隊のシュプレヒコール

デモ隊のシュプレヒコールの中
ぼくは苦笑している
両腕を抱えられ
連行される罪人は
オモチャの身体を感じながら
アスファルトの上の
自分の影を見詰めている



駅前にでたらめな動きがあり
高架の上を
音のない電車が走り去る



地下に小さな店があり
タバコの煙を呼吸しながら
ぼくは数十年前の新聞を広げている

ジャズが流れ
眼球は
アルコールに赤くなり
皮膚が醜く垂れ下がる

静かに耳を澄ませると
電車の振動に
19世紀の声々が
低く小さくこだまする