第七章 プラネタリウム


ぼくはプラネタリウムの中にいて
静かな宵にため息をつく
東の空のオリオンは
ぼくを胎児に連れ戻す

数々の思い出を通りぬけ
母の乳房にうとうとと
永遠の相の下
消えていく

柱時計は
コチコチコチコチ 



ランドセルを背負って
小学生のぼくが歩いている
天井の低い教室に
花瓶が置いてあり
日の光に照らされて
満足そうな眠りに落ちている

給食の味噌汁の臭いが
牛乳の臭いに混じって
教室を満たしている

白墨の粉が
静かに宙を舞い
ゆっくり
花弁の上に落ちていく