何もない一日
何もない一日
だったけれど
それでも
雨が降りました
何もない一日
だったけれど
榛名の山を背にして
蒼い空に夕焼け雲が
ほんのり蜜柑色に
浮かんでいました
何もない一日
だったけれど
湖水を伝わるような
リヒターの奏でる平均律を
屋根の上で聴きました
何もない一日
そろそろ
コオロギの囁きを枕に
悲しいオリーヴの樹の下へと
遠い眠りにつくのです