ベルリンの壁

にんげんが
真っ赤になって
にんげんを
殺した

その中に
ぼくはいた

必死でぼくは
にんげんを捜した

虚空蔵橋のたもとで
にんげんは
糞をしていた

ふりかえるにんげんを
ぼくは空っ風のように
殺した

ののしりながら
殺した

何度も何度も
殺した

それからぼくは
コーヒーをすすりながら
宇宙の燃えかすの上で
にんげんが
真っ赤になって
にんげんを殺したことを
考えていた

ああ
にんげんは
ぼくだった