夕暮れの校庭 夕暮れの校庭に だれかが ボールを忘れていった ぼくはそれを拾い上げ 思いきり蹴り上げた こがね色のイチョウの木より もっと高く ボールは 空に 吸い込まれていった ぼくは両手を広げて 鉄棒の上を歩きはじめた その時突然 目に夕空が広がった 肩から力が抜けぼくは ボールのように 地面に落ちた 2つの影が 校庭のすみの 砂場の近くで 揺れていた