蝶の死骸のように
真夜中の四つ角を
左折する車が
横断歩道の手前で
止まったまま動かなかった
花粉症マスクに曇る眼には
人の姿が見えないけれど
雨のなか動かなかった
青信号が点滅し
赤信号に変わるとようやく
横断歩道を撫でるように
車は動き出した
近づいてみると
白モクレンの花びらが
蝶の死骸のように散っていた
大利根緑地公園にて