赤いほっぺの天使


雪の降り積もった
日の当たる部屋で
黄色いちょうが
白い帽子にとまる絵本を
読んであげていると
よちよち歩きを
始めたばかりの天使が
指しゃぶりをやめ
窓の外を指さし
声をあげた

その指の先を
辿ってみても
見えるのは
隣の家の白い壁と
青空ばかり

何度か絵本に眼を戻し
続きを読んでみても
赤いほっぺの天使は
窓の外をじっと見ている




氷柱と青空 軽井沢にて