空襲

会社の昼休み
風のある
屋上に出た

空はいくつもの
ダンボールをかかえて
ぼくにも分かるほど
小さく見えた

巨大な煙突から
鼻毛を育てる
廃棄物が
無数のちりとなって
大気に広がっていく

地上には
たくさんの車がはいまわっている

しかし
人の姿が見えない
時計がない

全てのものが
影になったときには
きっとこんな風が
吹いていた

町並みの果てる
視界の向こうに
ぼくは広島の空を見た