霊柩車
真冬の朝のホームに
2列に並んで
黒いコートの人達が
無言のまま
電車が来るのを
待っている
なぜ青い空を
ふり仰がないのですか
焼香を終えたときのように
電車がホームにはいり
ドアが開いた途端
物質の強烈な自己主張が
重い電車を左右に揺する
座席に腰を下ろして
新聞を広げているのは
疲れの取れない
神経の束だ