遮断機の前で


さまよう私は
時間の中にはいない
景色を眺めるように
時間の外にいる

まるで
電車が見える
ずっと前から降ろされた
遮断機の前に
いるかのようだ

点滅しながら鳴り響く
遮断機の前で私は
ジョバンニを乗せた
電車が通り過ぎるのを
待っている

たぶん明日も
時間の中に私はいない
時間を全身に浴びて
生きてはいないだろう




オシップ・ザッキン「破壊された都市」