ぼくは子供の頃

ぼくは子供の頃
時間の間に忍び込み
そこにある
充実したひろがりを
楽しんだ

ぽっかり空いた
その間には
母のあたたかさが
あった

それがべっとりと
ペンキのような時間に
塗りたくられて
その間が見つからない
入りこむ隙間がない

思い起こせば
あの時のぼくは
押入れの中や
自分の家の狭い縁の下や
神社の忠魂碑の暗い穴蔵やらに
じっと隠れて
そこからいつも
外の光を眺めていた

もしかしたら
光の遮断された
ああした場所にこそ
本当の青空が
あるのかもしれない