【 薬物乱用からの回復者のメッセージ 】
(改訂:07/10/14)
こんにちは、私は24歳の薬物依存症本人です。薬物は約4年間使用していませんが、自分では、回復者というより、回復途上者だと思っています。
私が初めて薬物を使用したのは、13歳の時でした。最初は友人に勧められたシンナーでした。自分と周りの全てのことを忘れたいという欲求から、すぐにやみつきになり連続使用になってしまいました。毎日毎日シンナー漬けで、何を忘れたかったのかということさえ、忘れてしまうほどでした。
使用薬物の種類は、どんどん増えていきました。覚せい剤、大麻、幻覚剤と手に入るものなら何でも使いました。しらふの瞬間が怖くて、その瞬間に心の中の不安を追払えれば、それで充分でした。酔っていられるものなら酒でもクスリでも何でも良かったのです。でも感覚をマヒさせる、現実を忘れさせるということでは、何といってもクスリが最高でした。薬に溺れて死にたい。本当に時々そう思っていました。死ぬことは怖くありませんでした。小学生のころから死にたい。もうこんな人生は終わりにしたいと思っていましたから。
中学生のころから、早く家から逃げ出したいと思っていた私は、15歳の時、親しい男性と同棲を始めました。ほとんど出席していなかった高校は中退しました。彼も薬物乱用者でしたから、二人の生活は文字通り、酒漬け、クスリ漬けになってしまいました。17歳で妊娠し、結婚して彼に請われるまま出産してしまいました。自分のめんどうさえきちんとみられないのに、・・・。妊娠中だけ何とかやめていたクスリも、出産後にはまた使い始めました。そんな自分を責めてはクスリを使い、使ってはまた自分を責める・・・。悪循環でした。
20歳で離婚し、大学病院から紹介されて精神病院に入院しました。そこが一般精神病院ではなくて、アルコール専門病院だったのは幸運でした。私は入退院を繰返している間に、自助グループにつながることができました。薬物依存からの回復者がその病院にメッセージに来てくれていたのです。以来現在まで、随分多くのヤク中と知合いになりました。目覚ましい回復をする仲間がいる一方で、たくさんの仲間が死んでゆきました。毎日のように誰かがトラブルに巻込まれ、あたりまえのように誰かが入院し、誰かが警察に捕まりました。この平和な日本で、私たちの周りではこれがあたりまえの現実でした。でも不思議なことに、なぜか私はこの間、1度もクスリを使うことなく生き残りました。もちろん苦しい4年間でした。何度か危機もありました。その度に多くの仲間や援助者が私を支えてくれました。私のクリーンな1日1日を喜んでくれました。それらの人の支えがなければ、今の自分はなかったと思います。何しろ私は、仲間の中でも情緒不安定で淋しがりや通っていましたから。
成人前の私を知っている人は、今の私を信じられないでしょう。この私自身が信じられないほどですから。自分でも奇跡だと思います。一方で、この私のような重症の薬物依存症患者でも、クスリをやめることができているのだから、並の薬物依存の方なら、大部分が回復できるはずだ、と思うのです。今私は月に2回、赤城高原ホスピタルで薬物依存症の本人と、家族に向けてメッセージを届けています。
さらに私は、若い人たちに私のような苦しみをしてほしくない。薬物に手を出してほしくない、と思い、いろんな場所でいろんな機会に自分の体験を話しています。私は自分の力のおよぶ限りこのことを続けるつもりです。ただ私がまだ若いうちに、若い人たちの気持ちが分かる間に、私の体験を伝えたいとも思っています。だから特に、これからクスリに接するかもしれない人、もう使用して苦しんでいるかもしれない若い人たちに、今私のことを知って欲しいのです。
このページをご覧になって、私の話を聞きたいという方、どうぞ私にメッセージという仕事をさせてください。私を使ってください。できる限りたくさんの人に逢うために、でかけて行きたいと思っています。
私に連絡をとりたい方は、この Webページの管理者(赤城高原ホスピタル院長)に、Eメールを入れてください。 (以上、山口真琴。1999.08.19.)
* 院長は多忙のため、その他いろいろな事情のために、ご返事ができないことがあります。返事が来ないときは、赤城高原ホスピタルのPSW(精神科ソーシャルワーカー)に電話(0279-56-8148)してみてください。
[追記」(この項目、07/10/14追加)
山口真琴さんの別名は、山口悟郎さんですが、この真琴も悟郎もアノニマス・ネームペンネーム(仮名)で、本名は山口葉子さんといいます。
山口葉子さんは、2007年7月に急逝されました。
詳しくは、遺作となった「もう一度笑ってよ」、または、サイト、BIG LOVE CREW (http://jetty12.com/)をご覧ください。
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⇒ TEL:0279-56-8148
文責:竹村道夫(1999/8)