【 摂食障害チェックリスト 】
(改訂 13/03/03)
● Printer-friendly Version → 当院で使用中の摂食障害チェックリスト書式を提供します。当院受診やご相談の際には、この書面をダウンロードして、書き込んでお持ちください。
●摂食障害のタイプ(★は表の最後に説明があることを意味します)
・拒食のみ ・拒食が主 ・過食のみ ・過食が主 ・拒食と過食の混合型
・嘔吐あり ・嘔吐なし ・嘔吐時の飲酒 ・下剤常用 ・下剤乱用 ・浣腸乱用 ・利尿剤乱用
・摘便★ ・チューイング(噛み吐き)★ ・瀉血(献血)★ ・慢性消化器疾患
●摂食障害の発病時期 : ( )歳
●摂食障害の症状経過★
・拒食のみ ・過食のみ ・拒食→過食 ・拒食→混合型 ・過食→混合型 ・その他
●摂食障害関連症状(受診時に見られやすい関連症状)
精神症状: ・抑うつ傾向 ・情緒不安定 ・慢性的不安 ・無気力 ・疲れやすい傾向
・ひきこもり傾向 ・対人恐怖傾向 ・パニック発作 ・過呼吸発作 ・やせぼけ★
・不眠傾向 ・寝過ぎる傾向 ・昼夜逆転
合併精神症状: ・料理に異常な関心 ・家族に無理に食べさせる★
・家庭内暴力(・親への暴力 ・家具に当たる ・暴言 ・その他)
・自傷行為(・手首または前腕、肘の切傷★ ・その他の自傷行為)
・自殺願望 ・自殺未遂(・処方薬、売薬のまとめのみ ・その他の自殺行為)
・万引癖★ ・盗癖 ・買い物癖 ・ため込み★ ・活動性過剰(強迫的運動)
合併嗜癖問題: ・アルコール問題★(・乱用 ・依存) ・薬物乱用★
・医療依存傾向 ・処方薬依存傾向★
異常行動: ・活動性過剰 ・腹部皮膚の異常(皮下脂肪の揉み出し痕)
やせ関連症状: ・生理不順 ・生理なし ・皮膚の黄色調 ・産毛(うぶげ)
嘔吐関連症状: ・吐きだこ ・むくみ★ ・便秘 ・耳下腺、唾液腺の腫れ★ ・う歯(虫歯)
●摂食障害関連異常検査値
・低カリウム血症 ・低蛋白血症 ・心電図異常 ・肝機能障害
・低血圧 ・低体温 ・低血糖
●摂食障害患者の初診時に見られやすい態度
・衰弱 ・歩行困難 ・混乱状態 ・接触不良 ・無口 ・無言 ・不信感 ・情緒不安定
・ニコニコ仮面★ ・易刺激的 ・興奮 ・不機嫌 ・拒否的 ・被害的 ・攻撃的
●その他の症状、問題(現在、過去のすべて)
・爪かみ ・かさぶたはがし★ ・にきびいじり ・皮膚はがし★ ・抜毛癖 ・チック
・悪夢 ・夜驚症★ ・頻尿 ・夜尿症 ・おもらし ・白昼夢★ ・気管支喘息★
・アトピー性皮膚炎★ ・慢性消化器疾患 ・頭痛 ・慢性疼痛 ・その他の心身症 ・病弱
・医療依存傾向 ・処方薬依存傾向 ・極端な人見知り ・醜貌恐怖★ ・動物いじめ(虐待)
・乱暴者(暴力的傾向) ・家庭内暴力(・親への暴力 ・家具に当たる ・暴言 ・その他)
・家出 ・いじめ★(・被害者 ・加害者) ・非行 ・不登校
・怠学(なまけ) ・成績不良 ・留年 ・退学 ・転校 ・成績優秀 ・がんばりや
・アルコール問題(・成人前から ・成人後 ・軽度 ・中等度 ・重症) ・薬物乱用
・喫煙(・成人前から ・成人後 ・20本以上) ・借金癖 ・買物癖★
・ギャンブル癖 ・恋愛依存★ ・セックス依存★ ・頻回の結婚歴(異性関係)
・性的不感症 ・売春 ・生理痛 ・不正出血 ・月経前緊張症
・完全癖 ・強迫神経症 ・離人症★ ・対人恐怖傾向 ・自己中心的 ・依存的対人関係
・躁状態 ・怒り発作 ・解離性健忘★ ・解離性フラッシュバック★
・頻回の転職 ・放浪癖 ・長期無職 ・仕事中毒 ・社会的不適応
・過度の世話焼き★(・酒害者の配偶者 ・その他社会不適応者の世話焼き)
・医療関係者 (・医師 ・看護職 ・その他) ・援助職(職業的世話焼き)
・被虐待者(被害者) ・幼児、児童への虐待(加害者)
・親や親族にアルコール依存症★
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【 以下、★印の説明 】
・利尿剤乱用★ 痩せるために利尿剤を乱用する人がいます。低カリウム血症や腎障害の原因になります。大変危険です。
・摘便★ 大便を指でかき出すことです。たまにこういうことをする人がいます。
・チューイング(噛み吐き)★ チューインガムのように、飲み込まずに噛んで吐き出すことです。
・瀉血(献血)★ 痩せるために、献血したり、わざわざ傷を作ったり、出血を放置したりする人がいます。出血多量で死んだ人もいます。
●摂食障害の症状経過★ ダイエット(拒食)で始まり、過食に移行するのが最も多いパターンです。
・やせぼけ★ 文字通り、痩せ過ぎてボーっとしている状態です。こういう時に脳波をとると、徐波がみられたり、CTスキャンで、前頭部脳萎縮が見られたりします。
・家族に無理に食べさせる★ 母親や妹に無理やり食べさせようとすることがあります。自分がしたいこと(過食欲求)を身近な人にさせるという意味と、ライバルを太らせるという意味があります。
・自傷行為(・手首または前腕、肘の切傷★ ・その他の自傷行為) 右利きの人では、左手首や左前腕の切傷が多いのですが、その他では、足や首の切傷、切腹などがあります。
・万引癖★ よく調べてみると、摂食障害者の万引きは、大変多い合併症状です。過食用の食物が多いのですが、そのほかでは、衣料、装飾品、手当たり次第といったケースがあります。わざわざ捕まるために万引きしているようにみえることもあります。
・ため込み★ 食料品や日用品などを必要以上にため込むという症状です。
・アルコール問題★(・乱用 ・依存) 本人が、アルコール乱用あるいは依存を認識していないことがあります。治療スタート時には、なかった乱用や依存が、治療中や治療後に出現することがあります。
・薬物乱用★ 下剤乱用以外に、利尿剤、違法薬物、シンナー、整髪剤、ライター用ガス、咳止め、鎮痛剤、睡眠薬など、何でもあります。
・処方薬依存傾向★ 医師から服薬を勧められている場合、医師の目を盗んで、ハシゴ受診をしたり、売薬を飲んでいるケースなど、いろいろあります。
・むくみ★ 低アルブミン血症、低カリウム血症などが関係しています。拒食と過食を繰返す人では、著しい下肢のむくみが見られることがあります。
・耳下腺、唾液腺の腫れ★ 過食と嘔吐をしている人では、よく見られる症状です。
・ニコニコ仮面★ 必要以上に愛想が良くて、周りに気を使っていることをいいます。
・かさぶたはがし★ 手足や頭髪中などの傷の痂皮をはがします。
・抜毛癖 ・チック★ 子供のストレス関連症状です。
・皮膚はがし★ 爪周りや口唇、手掌などを出血するまでむしるのが、よくあるパターンです。
・夜驚症★ 夜間に叫び声をあげたり、飛び起きたりします。
・白昼夢★ 昼間に茫然と考え事をしていて、名前を呼ばれたりして、我に返るというような症状です。子供に見られやすい解離症状ですが、解離性障害では成人でもみられます。
・気管支喘息★ 摂食障害患者に合併しやすい心身症です。
・アトピー性皮膚炎★ 摂食障害患者に合併しやすい心身症です。(関連ページ⇒嗜癖問題QandA: ACと喘息、アトピーとの関係)
・醜貌恐怖★ 自分がひどく醜いと思い込むことです。この考えに取り付かれて、美容整形手術を繰り返す人もいます。
・いじめ★(・被害者 ・加害者) 被害者になりやすいが、加害者になることや、その両方になることがあります。
・買物癖★ 必要以上、予算以上に買物をしてしまう傾向です。
・恋愛依存とセックス依存★ 恋愛依存は、すぐに異性を好きになってしまう傾向をいいます。相手をつなぎ止めるために、セックスを提供する事はあっても、セックス自体には興味はありません。これに対して、セックス依存は、恋愛感情はあまり持たず、セックスに関心があり、すぐに性関係を持ってしまう傾向をさします。この両者の区別は重要ですが、また、この両者はしばしば合併することがあります。
・離人症★ 自分の周りに薄い幕があるように感じる。現実感がない。実行感がない。自分の体の自己所属感がない。感情がなくなったように感じる、などの症状をいいます。解離症状のひとつです。
・解離性健忘★ 重要な出来事、心的外傷体験(トラウマ体験)の記憶がない、という症状です。
・解離性フラッシュバック★ トラウマ体験を思いだし、今現在、その場に居合わせたかのように反応してしまうことをいいます。
・過度の世話焼き★(・酒害者の配偶者 ・その他社会不適応者の世話焼き) この症状は、「共依存」と呼ばれることがあります。
・親や親族にアルコール依存症★ 摂食障害にはAC(アダルトチルドレン)、中でもACOAが多いのです。
● 以上(このページ)は、赤城高原ホスピタルで、摂食障害の病歴聴取の際に用いているチェックリストをもとに作りました。多くの摂食障害の方々と話した経験から抽出したもので、診断用チェックリストというほどのものではありません。およそこういったことが問題になるようです。かなりの項目がアダルトチルドレンの症状チェックリストと重なります。
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● 「自分が摂食障害かもしれない」と思われる方、ひとりで悩まずに、信頼できる治療者か仲間と話されると良いと思います。
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● または、昼間の時間帯に、当院PSW(精神科ソーシャルワーカー)にお電話してください
⇒ TEL:0279-56-8148
文責:竹村道夫(初版:99/09/30)