11月某日職員向けのインフルエンザ予防接種を希望者に行う。私はここ何年間受けていなかったが、看護師に指導され接種する。薬代だけ負担してもらうだけの格安の値段である。                    
11月某日
殖蓮小学校生徒50名が交流会の準備ということで見学に訪れる。毎年の恒例事業になっている。自分の育った場所にある施設を知ってもらうことは大事なことである。
11月某日朝から施設の庭の掃除と花植を行う。枯れかかった花を新しい花に植替える。池を掃除したり落ち葉をかき集めたりで一日かかっても終わらない。
11月某日アメリカ合衆国の大統領選挙はオバマ氏が圧勝して終わった。オバマ氏が獲得した選挙人は365人(マケイン氏は173人)、得票数は6661万票(マケイン氏は5816万票)である。「WE CAN CHANGE」と簡単でしかも人の心を掴む言葉で国民に呼びかけた政治家オバマの勝利であろう。
11月某日今日から地元殖蓮中学校生徒6名が2日間ずつデイサービスとケアハウスで職場体験を行う。昨年も4名参加したが、いつの年でも介護や福祉という仕事に興味を持つ生徒がいることに安心感を覚える。


11月某日
今日から4日間岡山で開かれる全国老人福祉施設大会に参加する。お祭り的要素も強いが今回は堤修三大阪大学の講演が良かった(介護報酬改定を考える 参照)。3日目には1人で入浴機器のトップメーカーOG技研を訪ね最新の入浴機器を見、説明を受けた。大変参考になる話を聞けた。その一つは入浴機器からの転落事故が多発し、それを防ぐ改良を施したという。が、転落事故発生の原因の多くは、職員の機器操作が十分徹底されていないことだという。職員の入れ替わりが多く説明を十分受けないまま機器操作にあたっているようだ。最終日は倉敷まで足を伸ばし大原美術館を堪能した。特にエルグレコ「受胎告知」1594とデ・キリコ「ヘクナールとアンドロマケーの別れ」1918が良かった。東洋館では展示されている3連仏頭が無性に欲しくなり「なぜここに有るんだ。許せない」的感覚に陥ってしまった。金閣寺に火を着けた男の心情が分かる気持ちにさせられた。写真に載せられないのが残念である。
11月某日第3回のロータスヴィレッジの文化祭が行われる。在宅サービスを中心にロータスヴィレッジのすべてを見て知ってもらうのが目的である。冷たい雨にもかかわらず過去3回で一番多い252名の方が訪れて下さった。今度の介護報酬改定でも厳しさが予想される在宅部門は、やはり地域の財産でありそう簡単にはなくせないと思う。
11月某日どこかの老人施設で火災が発生した。朝礼で「ライターには十分注意し、特養やデイでは職員の見ている所で喫煙してもらい、ケアハウスでは絶対に居室で喫煙しないよう伝える。

11月某日
連休を利用し秋田まで出かける。行きは高崎23:25発の寝台特急を使った。大館のきりたんぽ鍋、秋田のしょっつる鍋、角館の秋田牛・比内地鳥とまさにグルメ旅である。翌朝秋田駅前の市場で刺身類を食べたのだが、私は生ものが余り好きでないのでちょっとまいった。友人達は刺身を肴に朝からがんがん酒を飲んでいる。一人の友人は糖尿病で有るにもかかかわらず、その飲みっぷり食べっぷりには、私はただ唖然とするしかない。この友人は旅行から帰ってきてしばらく手足がしびれていたという。当たり前だ。もう一人の友人は駅弁を食べるのが趣味らしく、電車に乗ると駅弁を食べていた。昔は肥満だったようだが、今は痩せている。朝、昼、晩と食べ更に駅弁である。どこに入っていくのだ。恐れ入る。
11月某日
ある入居者の部屋のカーテンがすべて締め切られており、昼間だというのに薄暗い。この入居者の希望でそうしてある。4人部屋なので他の入居者はどう思っているのだろうか。個室が必要だと思うが、4室しかないのでしばらく待機である。
11月某日給食会議での出来事である。デイサービス利用者の昼食の要望が、あまりにも施設側の供給能力とかけ離れている事例があったので「昼食の要望を受け入れる際のガイドライン」を作成するよう管理栄養士に伝える。
12月某日
今月は、床・窓ガラス・便器洗面器清掃業者が入る。毎年のことであるが、職員の不断の清掃活動があってこれらプロが行う清掃が生きるのである。
12月某日ある複数の施設から人事考課の問い合わせがある。当施設の人事考課は10年の歴史がある。人事考課の主たる目的は職員育成である。給与査定であってはならない。サービス業は、誰が行っても同じサービスが絶えることなく行われることが重要である。当施設ではこのサービスを提供するために人事考課が行われている。このことを複数の施設の担当者に伝え、自分たちできちんと人事考課の本を読まなければならないことも伝えた。コンサルタントにおんぶに抱っこではだめである。
12月某日ロタウイルスが原因と思われる嘔吐症状を示す入居者が増えている。とりあえず4日間ショートステイの受入を断ることに決める。ショートステイ利用者への連絡を行うが、デイサービスは受入は可能なので一時的にデイサービス利用者が増えることになる。昨年に比べ10日ほど早く、また昨年ほど広がりをみせていない。
12某日全老施協からの報酬単価の折衝に伴う緊急アンケートで分かったことだが、当施設の特養部門は、介護職員25名中21名が常勤(常勤比率84%)、介護福祉士数が16名(介護福祉士比率64%)、平均勤続年数は5.6年である。
12月某日特養入居者は、皆身体に障害があったり認知症があったりで重介護が必要な人ばかりである。だから世間では非常識と思われることも特養では常識となることがある、と信じている関係者もいる。私はここの考えはおかしいと思う。普通に生活し、子どもを育て一生懸命働いてきた高齢者に世間の常識が通用しないとする考えが間違っていると思う。福祉・医療・教育などの対人援助サービスは「悲しみを分かち合う心」がないと難しいのだと思う。
12月某日今日は賞与支給日である。当施設では昨年に比べ利用者が減っている部門もある。しかし、各部門とも正職員には2ヶ月以上、パート職員には1ヶ月の賞与を支給した。12月になり景気悪化が一段と進み、各企業共派遣社員や業務委託社員の契約解除が多発している。住む寮も追い出されこの厳寒の中で野宿生活を強いられる人が激増している。東証に上場している企業は、今までの利益を使ってでも安易な労働者切りはしてはいけないと思う。それが企業の社会的責任である。

12月某日ケアハウスの忘年会兼クリスマス会がプラザアリアで開かれた。利用者12名、家族9名、趣味の教室の先生10名そして職員3名が参加する。今年は家族の参加が多くにぎやかな会になった。まず利用者が教室で習った腕前を披露し会食と相成った。
12月某日来年度政府一般会計予算が決定した。過去最大の規模ながら税収が今年度に比べ7兆円も下回るため赤字国債の発行や単年度限りの埋蔵金を11兆円も使う辻褄合わせの予算になった。政局より経済が大事と言いながら二次補正予算も年内に国会に提出できないのはなぜだ。二次補正予算の目玉である2兆円もの巨額な定額給付金をばらまくのであったら、例えば太陽電池や燃料電池などの新エネルギー開発や環境負荷を低減する機器開発など将来の日本の産業を背負うものへの投資というわけには行かなかったのか。
12月某日今年最後の給食会議。利用者から負担してもらっている費用だけでは給食費を賄いきれず、そうかといって給食費を下げれば質が悪くなる八方塞がりの中始まった今年は、春先の食品の高騰でついに質を下げざるを得ない、と腹をくくった。しかも食品偽装や異物混入問題で品質の面でも重大な局面を迎えた。しかし、金融危機を契機に原油も下がり食品価格も落ち着きを取り戻す中で終了しようとしている。今後も今回のような食品価格高騰や品質低下問題も十分あり得る話だが、いかんせん施設側としては対応策がないのが実状である。

12月某日年末恒例の餅つきである。やはり餅をついて年を越さないと1年が終わった気がしない。
12月某日大晦日。そばを食べて今年1年を振り返りたい。昨年北京オリンピックが終われば景気が悪化すると言われていたが、事実世界各国で悪化した。アイスランドのように国家破綻してしまったケースもある。日本では、あのトヨタさえもが20年度1500億円の営業赤字予想となるほど悪化し、先行きが全くみえない。福祉介護業界はどうか。来年度介護報酬が3%ほど上がる。喜ばしいことであるが、今まで以上に地域のためになる、頼りにされるそんな施設づくりをしていかねばならない。そうでなければ厳しい雇用状況にあえいでいる地域住民の賛意は得られない。

     群馬県老施協ホームページhttp://www.jsgunma.jp


                                          
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ロータスヴィレッジの出来事と施設長日誌