中3道徳学習指導案
平成15年10月30日(木)
1 主題名 よりよく生きる(家族) (内容項目4−(6))
2 主題設定の理由
(1) ねらいとする価値につて
自分が存在するのは、自分の両親があり、その両親の祖父母があるからである。またその両親の祖父母が存在するのは、さらにその祖父母の親が存在するからである。このように、自分は過去から受け継がれてきた生命の中で存在している。また、今日までの自分が在るのは、両親のかけがいのない深い愛情により育てられてきたからである。このことに気付かせることにより、自分の成長を願い無償の愛情で育ててくれた両親に対して敬愛の念を深めることができると考える。
中学3年生ともなると、思春期と重なり、身体的にも、精神的にも不安定な時期になりがちである。そのため、両親からの無償の愛情をうまく受け止められずに、反抗的になりがちである。しかし、生徒の多くは両親の気持ちを分かっていながら、素直になれない自分に気付いている。
本主題を通して、普段あまり深く考えることのない、家族の絆、子どもに対する両親の愛情の深さについて改めて考えさせたい。
(2)生徒の実態
本時を学習する前に、以下のような家族に関するアンケートを実施した。このような気持ちに関するアンケートは、アンケートを実施したときの生徒の精神状態により、結果が大きく異なると考えられる。しかし、アンケートを実施した日の生徒の精神状態を確率的に考えると、全員が悪かったり、全員が良かったりということは少ないと考えられる。すると、アンケートの質問に「思う」と答えるメンバーは変わっても全体の人数は、余り変化しないのではないかと考えられる。
家族に関するアンケートの結果 (数字の左側は男子の結果、右側は女子の結果を表す)
1 自分は父親に大切にされていると思いますか。
@そう思う 8名,7名 Aどちらともいえない 7名,9名 B思わない 1名,2名
2 自分は母親に大切にされていると思いますか。
@そう思う 8名,8名 Aどちらともいえない 8名,10名 B思わない 0名,0名
3 自分は父親を大切な存在として接していますか。
@接している 7名,7名 Aどちらともいえない 7名,9名 B接していない 2名,2名
4 自分は母親を大切な存在として接していますか。
@接している 7名,7名 Aどちらともいえない 7名,10名 B接していない2名,1名
5 自分と父親との関係はうまくいっていると思いますか。
@そう思う 8名,7名 Aどちらともいえない 8名,8名 B思わない 0名,3名
6 自分と母親との関係はうまくいっていると思いますか。
@そう思う 8名,9名 Aどちらともいえない 7名,9名 B思わない 1名,0名
7 家族は大切だと思いますか。
@そう思う 12名,12名 Aどちらともいえない 4名,5名 B思わない 0名,1名
8 将来自分はどんな家族(家庭)を築きたいと思いますか。
○男子 明るく・楽しい家族 5名 幸せな家族 1名 親子の仲のよい家庭 1名
あたたかい家族 1名 みんなが大切だと思い合える家族 1名
家族が一番といえるような家族 1名
○女子 仲のよい家族 5名 明るく・楽しい家族 5名 幸せな家族 2名
隠し事のない・何でも話せる・相談できる家族 3名 5〜6人の家族 2名
4〜5人の家族 1名 ちゃんと勉強のスペースをあげる家族 1名
今の自分のような家族 1名 あたたかい家族 1名 普通の家族 1名
アンケート結果より、男女間の差はあまりなかった。生徒の約半数は両親の深い愛情を感じ、お互いにいたわり合うような家庭環境と考えている。しかし、約半数の生徒は両親の愛情をうまく受け取れず、両親に対する愛情表現が思うようにできない家庭環境と考えている。中学生のこの時期としては、ごく一般的な回答とだと考えられる。本当は多くの生徒が、両親に大切にされていると感じており自分も大切な存在として接していきたいと思っている。また、「どちらともいえない」という回答が多いのは、頭では理解しているが素直に行動できない生徒、素直に「思う」と答えるのに抵抗がある生徒などがいるからだと思う。
また、夏休み中に三者面談を実施したが、どの生徒の親も子どもの将来のことをとても真剣に考えており、子どもを大切にしている様子がうかがえた。
三者面談や生徒との会話から、多くの親が子どもの将来を考えて、「勉強をしなさい。」「勉強しないと、高校に行けないよ。」などと口うるさくなってしまっていること。子どもの中には、このような親の忠告を、自分のことを考えて言ってくれているとは思ってはいるが、その時の感情で「うるせい。黙ってろ。」「くそババ。」「おめえには関係ねえんだよ。」などと暴言を吐いてしまっていること。などが分かっている。
(3) 資料について
主人公は埼玉県桶川市の会社員加藤正さん、浩美さん夫婦の長男秋雪ちゃんである。秋雪ちゃんは加藤夫妻の長男として、平成4年10月19日に誕生する。秋雪ちゃんは、心臓の奇形を伴うダウン症で「余命1年」と医師から告げられる。妻浩美さんは「この子との一瞬一瞬を形に残したい」と写真を撮り始める。買い物、病院、家族旅行などで撮りためた写真は1万枚以上になる。沢山の思い出を残して、秋雪ちゃんは平成11年1月息を引き取った。その11ヶ月後、息子の生きた証を伝えたい、と明治生命主催のフォトコンテストに送った写真が入賞した。この入賞作をもとに明治生命が制作したCMが今回の資料である。
このCMは「家族愛」「人間愛」など人それぞれにある愛の形を、心あたたまる一瞬をとらえた様々なスナップ写真を通して表現しています。この資料は、奇形を伴うダウン症で「余命1年」と宣告された子と両親という特殊な親子関係ではあるが、生徒が自分を素直に振り返り、両親の愛情に気付かせるのに格好な資料である。
この資料は、扱い方と生徒の考え方により、生命尊重(内容項目 3−(2))の内容にも発展する可能性がある。また、生命尊重の心情が養われるのは、大変に好ましいことである。しかし、本時は家族愛を主題材として扱うように展開を工夫する。
(4) 配当時間 1時間扱い
(5) 指導の方法針び留意点
@導入段階では、アンケート結果をもとに親子関係について考えさせ、自分と家族との関係について振り返らせる。
A生徒の考えを深めかめる場面では、次のように学習を進めたい。
○生徒一人一人が自分なりの考えをもつことが道徳的価値追求の基盤となるため、考える時間を十分保証したい。
○時間の確保だけでは自分の考えをまとめられない生徒には、個別支援をおこない、自分の考えをまとめられるようにする。
○ワークシートに自分の考えを記入することにより、普段の自分を振り返らせ、素直に記入できるようにする。
B発表させる場面では、自分の考えを紙に書いて黒板に貼ることにより、生徒全員の意見を吸い上げる。
C終末の段階では、教師がまとめるのではなく、生徒がそれぞれの思いをまとめるようにする。
D母子家庭の生徒がいるので、父親の部分の取り扱いには十分注意する。
(6) 事前・事後の指導
@事前指導
○学年通信に「たったひとつのたからもの」を掲載する。(10月7日掲載)
○家族に関するアンケート調査を実施する。 (10月22日実施)
A事後指導
○生徒一人一人のワークシートを添削する。
○学級活動や帰りの会、普段の会話などの機会を通して、本時を振り返らせる。
3 本時の学習
(1) ねらい
両親から自分に注がれている愛情の深さを再確認し、自分も家族の一員としての自覚を育てる。
(2)準備 ビデオ「たったひとつのたからもの−友達」編 、ワークシート、ビデオに関する資料、 家族に関するアンケート結果
(3)展開
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