アストロフォトタイマ2の製作
PICってなんでしょう?
PICファミリの例
用途によって、いろいろなタイプを使い分けることができます。
外見はタダのICです。
まずは、アストロフォトタイマ2の頭脳となるべきPICマイコン(以下PIC)について、簡単に説明しましょう。
PICはマイクロチップテクノロジ社(USA)の製品です。PICとは、ペリフェラル・インターフェース・コントロールの略で、周辺入出力装置制御とでも訳せばよいでしょう。つまり、外部にいろいろとつないで制御することができるマイコンだよ、っということなのです。かつて、マイコンを動かして何かを行うには、マイコン以外にもいろいろと回路を作るためのパーツが必要でした。現在でもAT互換機(いわゆるDOS/V)パソコンに使われているペンティアムなどのCPUは、メモリやクロック回路やいろいろなパーツが必要で、それ単体ではほとんど何もできません。ところが、PICマイコンは、メモリもクロックも簡単な入出力装置さえも内蔵していて、プログラムを書き込めば、単体で使うことも可能なのです。いわゆるワンチップマイコンと呼ばれるモノです。もちろん、ペンティアムほど計算が速くて高性能ではありません。しかし、単純なことを繰り返し行う機械に組み込む、という使い方では、PICはたいへん重宝します。まあ、適材適所というところでしょう。家電で、マイコン炊飯ジャーやマイコン内蔵エアコンなどには、PICのようなタイプのマイコンが使われています。天文趣味人で身近なところでは、ミードのETXやセレストロンのネクスターなど、モーター内蔵の自動導入望遠鏡一台に複数のPICが使われている例もあります。これは、ディスプレイの表示やキーが押されたことを検知するPIC、モーターをコントロールするPICなどなど、制御すべきことがら別にPICを用意して、それぞれ別のプログラムを書き込んで使っているのです。それぞれのPICは通信線でつながっていて、全体でひとつのコントローラのような振る舞いをしています。このような方法だと、プログラムの変更で仕様を変えることもでき、他の機種への応用も簡単になります。さらには、商品の製造コストを抑えることも可能になるのです。
さて、PICにはいくつかの種類が販売されています。なかでも、もっともスタンダードなPICが、16F84でした。現在は生産を終えている(?)ようで、改良版の16F84Aが販売されています。ひとつあたり数百円程度と安価で、プログラムを作ったり、そのプログラムをPICに書き込むための開発環境も比較的安価に入手できます。現在では参考書も何点か出版されています。
PIC16F84A
アマチュアユースでもっともポピュラーなPICといえます。
開発環境も豊富に揃っていて、便利です。
16F84Aは、最大20MHzのクロックで動きます。また、13個の入出力ポートを持っていて、外部の回路を制御できます。メモリは1kワードと、現在のパソコンで扱うデータ量と比較するとほんのわずかなものですが、簡単な機器の制御ならじゅうぶんです。最大の特徴は、プログラムをライターと呼ばれる装置で書き込むのですが、16F84Aは電気的に100回程度は書き換え可能なメモリを持っているので、プログラムの修正なども比較的簡単にできるのです。アストロフォトタイマ2にも、この16F84A(当時は16F84でした)を使うことにしました。
ところで、PICを使うには、回路を組むことももちろん、プログラムを作って、それをPICそのものに書き込まなくてはいけません。そういうとなんだか難しそうですが、ごくふつうのAT互換機パソコンで開発が可能です。少しばかりプログラム言語をさわったことのある人なら、それほど苦労せずに使いこなせるのではないでしょうか。PICプログラムは、基本的にはアセンブラという言語で記述します。命令はわずかに35しかありません。あとはこの命令の組み合わせで、機能を実現するのです。