2度目の誕生 生まれた 寒い冬に マフラーをして 生まれた そこにそうしていることが 不思議でならないはずなのに ぼくの心は 初めての時のようには 震えなかった どうします 立ち会いますか いいえやめておきます 暗い廊下の片隅で ぼくは産声を 待った 厚いガラス越しに カーテンが開かれ 白い産着にくるまれた ふやくちゃの顔が見えたとき ぼくは遠く懐かしい山里の 降り積む雪の中に いるようだった