湖の底

気がつくと僕は
深い湖の底近くに
浮いていた

誰もが暖かなぬくもりにまどろむ夜明け前に
僕は
厚い氷に閉ざされて
50億年の時の流れをすりぬけ
ひとつの小さな
無になった

そう言えば
僕はいつからここにいたのだろうか
そしていつまた
ここに戻ってきたのだろう
あの広がりの不思議な感覚は今はなく
僕は僕から
離れていく