かすかに今でも
心に想う人は
高原の朝の光のように
澄みわたりきらきらと
雪のように輝いていた
もしかしたら偶然に
今日はどこかでその人に
出会えるかもしれない
と思うと朝の時間が
楽しかった
もうこれで今日は
会えなくなってしまう
と思うと夕暮れはどこか
遠くに旅立つように
寂しかった
それはずっと変わらなかった
晴れた日も雨の日も
そしてかすかに今でも
「 夏の終わり 」 吉野毅作