地面に落ちる

だれもが
自分の身体に
もたれている
夏の朝

遊歩道を
走りつづけていると
身体の中から
たくさんの
海水が
染み出てくる


海水は
帽子のつばを
伝わり
地面に落ちる

敗戦の日を
前にして
国から離れろ
信じるな
巻き込まれるなと
地面に落ちる





高田博厚 「ヘラクレス」