冷蔵庫がないている


冷蔵庫がないている
静かな夜に
ぼくは手を伸ばして
冷蔵庫を撫でた

東京から群馬に戻ってくる時に
一度止まったことがある他は
買ってからもう15年
動きつづけている
我が家の冷蔵庫は
風邪でもひいたかのように
熱かった

ぼくが幸せになるということは
回りに不幸せをばら撒くことなのかもしれない

ぼくが存在しているということは
たくさんの不存在を
はじき出していること
なのかもしれない

冷蔵庫の中のように
冷えた部屋の中に居て
ぼくはアダムとイヴについて考えた

金魚が5匹水槽の中で
目を開けて
眠っている