【エフェドラ(Ephedra)の危険性 、続報2】 赤城高原ホスピタル

(改訂: 03/12/30)


[ はじめに ]

2001年中頃から、日本でもエフェドラ問題に関心が集まり始め、アメリカではエフェドラ製品批判の世論が高まり、行政府でも、死亡例の調査から、さらに販売規制の方向への政策転換の動きが徐々に出てきました。必然的に、続報2では、このような動きを伝えていくことになります。ニュース紹介のようなものが多くなるので、このページでは、新しいものを上に書いてあります。


[ 別ページの関連記事 ]

 →「ハーブ系ダイエット薬、エフェドラ(Ephedra)の危険性」
 →「エフェドラ(Ephedra)の危険性、続報1」
 「エフェドラ、続報3、終に販売禁止へ」

 →「エフェドラ、体験者のメッセージ、第1部」
 →「エフェドラ、体験者のメッセージ、第2部」


[イリノイ州でエフェドラ製品の販売禁止]

 5月25日、イリノイ州知事のロッド・ブラゴジェヴィッチ(Rod Blagojevich)が州議会で全会一致で採択されたエフェドラ関連条例に署名し、イリノイ州は米国で最初のエフェドラ販売禁止州となりました。この条例制定は、昨年の9月に突然死した16歳のフットボール選手、シーン・リギンス(Sean Riggins)事件によって加速されました。検死官の報告では、リギンスの死因は、エフェドラ服用に関連した心臓発作であると診断されています。リギンスの両親は、この運動を他州にも広げたいと述べました。禁止運動の推進者であるバラック・オバマ(Barack Obama)上院議員はリギンス夫妻に感謝し、「彼らは、ご子息の死という悲劇を乗り越え、これを多数の若者や運動家の命を救おうという条例制定につなげた」と語りました。

 この前週には、フロリダ州知事、ジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)が、18歳以下の子供に対しては、エフェドラ成分のあるなしに関わらず、全てのダイエット・サプリメントの販売を禁じるという条例に署名しました。(03/06/01)


[ピアザもエフェドラをやめました]

 米大リーグ、メッツの強打者、マイク・ピアザ捕手(34)が、五輪関連競技などでは禁止薬物に指定されているエフェドラ含有のサプリメント(補助食品)を使用していたが、若手大リーガーの死亡を機にやめたと述べました。
 大リーグのスティーブ・ベクラー投手の急死にエフェドラ摂取が影響したと断定された事件(下記項目参照)を受けて、エフェドラ使用を規制する動きが出ていますが、大リーグは現在もエフェドラを禁止薬物には指定していません。ピアザはベクラーの死に「驚いたし、(エフェドラ使用が)怖くなった」と述べています。(米ニューヨーク・デーリー・ニューズ、2003年5月11日)


[大リーグ投手の突然死とエフェドラの関係が検視結果から断定されました]

 2003年3月13日に発表された毒物学的な検視結果によると、キャンプ中に熱射病による合併症で死去した米大リーグ、オリオールズのスティーブ・ベクラー投手(享年23)の死因に、エフェドラが関係していたと断定されました。ベクラー投手の血液から「多量のエフェドラ」が検出され、熱射病を誘発する要因だったと指摘されています。(3月14日付日刊スポーツ、03/03/18確認


[FDAがエフェドラ製剤に警告ラベルを義務付ける方針を決定]
 
米食品医薬品局(FDA)は2003年2月28日、ダイエットや運動能力向上の目的で米国内で多用されている「エフェドラ」含有栄養補助食品に「死亡を含む健康被害例がある」との警告ラベル添付を義務付ける方針を決めました。(讀賣新聞、毎日新聞、03/03/01)


[大リーグのスター2選手がエフェドラ製剤を使用しているとNY紙が伝えました] 

 ニューヨークに本拠を置く米大リーグの2人のスター選手、ヤンキースのデービッド・ウェルズ投手とメッツのモー・ボーン一塁手がともに、論議を呼んでいる興奮剤のエフェドラを含む栄養補助食品を常用していると、2003年2月22日付のニューヨーク紙が伝えました。(ニューヨーク共同、毎日新聞、03/02/23)


[大リーグの若手投手がエフェドラ使用中に急死] 

 2003年2月17日に、オリオールズのスティーブ・ベクラー投手(23歳)がフロリダの春期トレーニングキャンプ中に熱射病で死去しましたが、ベクラーが減量のために使用していた栄養補助食品にエフェドラが含まれていたことが判明し、摂取が熱射病に影響したとみられることから、使用禁止の動きが出ていますが、大リーグでエフェドラは禁止薬物には指定されていません。(ニューヨーク共同、毎日新聞、03/02/23)

→後に、検死管がエフェドラ関与を断定、家族が製薬会社を訴えました。

 ベクラー投手の母、パットは、2003年6月、下院公聴会で、次のように述べました。「彼らは、私たちと彼の妻とベイビーから私たちのプライドと喜びを奪った。私たちの人生から子供を奪った。スティーブは私たちの人生そのものだった。彼の娘は父の顔を見る事ができない」

 べクラー投手の父、アーニーは、2003年末、国会にエフェドラ製品の禁止を要請し、「どうか息子の死を無駄にしないでほしい」と言いました。


[厚生労働省がエフェドラ製品の監視指導強化の要請]

 2002年9月12日付けで、厚生労働省、医薬局監視指導・麻薬対策課長から、各地方行政区の薬務主管部あてに「エフェドラ製品の監視指導」要請の通達が出されました。これに対応して、各都道府県の薬務主管部から関係部局などに、より細かい指導がされつつあります。
参考:エフェドリンアルカロイド等を含む製品に関する規制措置情報について


[エフェドラ製品のトップ企業の犯罪捜査を司法省が開始]

 2002年8月中旬、アメリカで、司法省が、トップ製薬会社に捜査に入りました。エフェドラの副作用を故意に隠し、FDAに虚偽の報告をしたという疑いです。

 1998年、当時のMetabolife International社社長、Michael Ellis 氏が、重大な副作用の報告は全くない、とFDAに述べていたにもかかわらず、サンディエゴの裁判記録から、エフェドラユーザーから多くの重大な副作用の報告を受けていたことが分かりました。

 実際には、メタボライフ社は、1万3千件の健康被害の報告を受けており、そのうち、80件は重大な疾患か死亡事例、100−200例が入院例でした。またそのうちの一部は、上記のFDAへの報告以前の事例であるとされています。

メタボライフ社は、いずれの事例も因果関係が確実に証明された訳ではない、などと反論しています。

上記の事件は、日本ではあまり報道されていないと思いますが、アメリカではビッグニュースです。以下のようなニュースサイト(英文)を見てください。

Ephedra Seller to Be Investigated (washingtonpost.com 02/08/16)
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A24487-2002Aug15

Metabolife probed by U.S. over ephedra (Montana forum.com; health and human services; Associated Press 02/08/16)
http://www.montanaforum.com/rednews/2002/08/16/build/health/metabolife.php?nnn=6

$17 billion industry largely unregulated
Metabolife 356 sparks new debate on diet supplements

By Penni Crabtree:UNION-TRIBUNE STAFF WRITER (SignOnSanDiego.com 02/08/25)
http://www.signonsandiego.com/news/business/20020825-9999_1n25metabo.html

EPHEDRA: Who's Telling the Truth? (Time archive; by Leon Jaroff 02/08/26)http://www.time.com/time/archive/preview/0,10987,1101020826-338620,00.html


[ スポーツ選手急死に関係の可能性? ]

 この(2001年)夏、アメリカでエフェドラを服用中(?)のフットボール選手が3人急死したことが報告され、訴訟問題も絡んでちょっとした騒ぎになっています。若い男性スポーツ選手です。エフェドラが死亡の原因であると医学的に証明された訳ではありません。否定的な情報も多いようですが、その可能性が論議されています。先日からここに報告しなければいけないと思ってはいたのですが、なにしろ忙しくて、詳しく書く時間がありません。興味のある方は例えば、以下のようなサイトの記事を読んでください。


DEATH OVER-THE-COUNTER:DANGERS OF EPHEDRINE
By Jody L. Aaron 
http://www.cerebralpalsyinfo.com/deathover.html

Taking the ultimate risk to meet people's standards
August 15, 2001
http://www.sportingnews.com/voices/dave_kindred/20010815.html

Statement by Northwestern University President Henry S. Bienen
on University review of the death of Rashidi Wheeler October 9, 2001
http://www.northwestern.edu/univ-relations/media_relations/releases/october01/wheeler10_09.html

Stringer widow: Report 'bogus'
Dismisses claims Vikings lineman used banned substance
Posted: Friday November 16, 2001
http://sportsillustrated.cnn.com/football/news/2001/11/16/stringer_report_banks

Asthma, Not Ephedra, Caused Football Player's Death
Posted on: 08/21/2001
http://www.naturalproductsinsider.com/hotnews/18h21162931.html


 2001年8月13日、アメリカの非営利組織である The Healthy Competition Foundation 財団は、エフェドラの副作用として、めまい、頭痛、胃痛、不整脈、心悸亢進、心臓麻痺、脳卒中、発作、精神病、そして死亡などが報告されているとして、スポーツ選手はエフェドラ入りの製品を使用すべきでないし、またスポーツ・サプリメントの成分をチェックすべきであると警告しました(http://investor.cnet.com/investor/news/newsitem/0-9900-1028-6861326-0.html)。財団は、エフェドラと共に、アンドロステロン(男性ホルモンの一種)、クレアチン(アミノ酸の一種)についても注意を喚起しています。

 2001年9月5日、米国の消費者団体、パブリック・シチズンは、エフェドラを含む栄養補助食品に多くの副作用があり死者も出ているとして、これら食品の米国での販売を禁止するよう、米食品医薬品局(FDA)に申し入れました。 (ワシントン共同、毎日新聞9月7日)


[ 別ページの関連記事 ]

 →「ハーブ系ダイエット薬、エフェドラ(Ephedra)の危険性」
 →「エフェドラ(Ephedra)の危険性、続報1」
 「エフェドラ、続報3、終に販売禁止へ」

 →「エフェドラ、体験者のメッセージ、第1部」
 →「エフェドラ、体験者のメッセージ、第2部」


[ 注意 ]

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AKH 文責:竹村道夫(03/06/01)


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