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施設長の独り言

                                    福祉経営とは−−金−−(3話)

  2話で、私は、我々社会福祉の人間もお上頼みではなく、自立へと大きく舵取りをしなくてはならないと書いたが、その続きを今回は書きたいと思います。
  8月下旬に経営協全国青年経営者会の研修で財務管理勉強会を3日間行ってきました。公認会計士の指導で、座学・講義・グループワークと大変密度の濃い、そして役に立つ研修でした。簿記とか、財務3表(資金収支計算書、事業活動収支計算書、貸借対照表)は体系的に勉強したことがなかったので、今まで今ひとつしっくりこなかった。今回の研修では、これらのことと更に進んで財務管理・経営管理そして経営分析・経営計画・財務計画、損益分岐点と経営(人・物・金のやりくり)の中でも特に金についての勉強であった。
  財務3表について簡単に触れておきます。資金収支計算書とは貸借対照表の中の流動資産−流動負債で示され、支払資金の増減を示す。事業活動収支計算書とは貸借対照表の中の純資産の増減を示す。貸借対照表とは一定時点でのストック(資産と負債と純資産はいくらか)である。この財務3表の理解の上で次に述べることが理解できました。
  1つには施設を例えば25年後に建て替える場合の財務計画はどうするか?寄附に頼る、良いことです。国の補助金を当てにする、国等の借金は天文学的数字だから止めた方がよい。自前で用意する自立の精神が重要。
  2つには経営分析をして平均値と比べても余り意味がありません。同規模の施設と比較するのがよいそうです。財務が健全である施設とは、小さな資産で純資産が大きいのが良く、流動資産が大きく負債が小さいのがよい(現金を多く持っていて借金が小さいのは良いのに決まっている)。
  3つには福祉の人たちは金を儲けるということに嫌悪を感じる人が多いが、良いサービスを継続して提供するにはお金が必要である。だから何の引け目も嫌悪も感じることはない。お金儲けは今日明日実現される訳でもなく(実現できたのは、福祉は独占業務で国に守られていただけで利用者から喜ばれていた訳ではない)、金のなる木が有る訳でもなく、ただひたすら地道の作業(サービス)を行って利用者から喜ばれて初めて利益につながる。だから利益が有ると言うことは利用者に喜ばれている証拠だから胸を張って良い。
  4つには会計基準と会計指針の選択の問題である。理論的には指針が正しいが両者の間には著しい差異はないので、基準を使おうが指針を使おうが問題はない。重要なことは各法人で経営計画・財務計画をきちんと立て自立した法人経営を行い良いサービスを継続的に行うことであり、財務3表は実行するための手段である。
  5つには青年経営者会は交流を大事にしており、助け合い協力する仕組みを持っていることである。50歳未満の方で興味有る方は参加してみたらいかが。私は後1年で終わりです。

                        平成15年9月5日   小林直行


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