[ 2001年 11月 26日 ]

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こわれた鏡
机の上に置いた鏡を、俺の不注意でこわしてしまった。

実家から持ってきたこの鏡は、
バスルームの洗面台に最初から据え付けてあったものを除けば、
この部屋にあって唯一、私物としての鏡だった。

この鏡一面がなかったとしても、特に不自由はしないのだが、
実はこの鏡、何年か前の誕生日に後輩女子からもらった、記念の鏡だった。
「トモはウチのお兄ちゃんだから」と言ってくれる、実に貴重な後輩だ。
しかし「お兄ちゃん」のわりには俺の名前を呼び捨てにする、生意気な妹でもある。

さて、こわしたモノが鏡だけに、妙な寒気が背中をはしった。
どうしよう……。久しぶりだが、とりあえず電話をかける。

「ひさしぶりじゃん。どうしたのー?」

どうしたもこうしたもあるか。元気そうな声じゃないか。
元気でなによりなんだけど、なんか悔しい(笑)

実に数月振りだったことに気付いた。1時間以上話し込んだ。
もし、鏡でもこわれなかったら、連絡をとることもあっただろうか?
過去の記念と引き替えに、現在のつながりを取り戻した瞬間がそこにあった。

卒業する前に、有休でも取って、また大学に行くよ。
一緒にお昼を食べよう。



事実上の敗戦記念日
労組の団体交渉に、後詰めとして参加した。
出張から戻ってきた直後に会場へ向かったが、それでも2時間以上の遅刻。
まぁ2〜3時間くらいいいだろう、どうせ常任委員は最終妥結までだ(笑)

28階の広い部屋に、イス席とゴザ席が半分ずつあつらえてあって、
それでも入りきらない人が、廊下、ロビー、エレベーターホールに溢れる。
さて、今日の戦友となるメンバーは……? いた。ゴザ席だ。

なんか、このエリアだけ荷物が異様に多いなぁー?
菓子類、ドリンク、書籍、防寒用具、……なぞのスゴロク(なんだそりゃ)
しかもすげぇ買い込んであるのね。何も準備してないのって俺だけ?
とりあえず腹ごしらえに、延長営業中の生協(地階)へ。

労組のために特別営業体制の生協が用意したメニューは、
「ソースかつ丼」または「カツカレー」のいずれか。
え? 2品だけですか? はぁ。……まぁ戦いに「勝つ」ということで。
俺はカツカレーをいただく。ちなみに参加者は食券が配給されているのだ。

食事を終えて戻ってきても、まだ8時。
交代で食事をとったり、数名が交渉席に望んだりで、メンバーが少ない。
同期の社員とか、だれかいないかなー?
すると、壁際の立ち席に、どこかで見たことのある顔。
なんと、高校時代の恩師がいらっしゃっていた! 高教組の代表ッスか!
しばし話し込み、お互い静かに熱いエールを交わし、別れる。

ゴザに帰ると、なにやら紙が配られていた。職労の通信紙だ。
聞けばこの一晩で、通信紙の年間発行回数の半数が配信されるとのこと。
よーし、せっかくだから、全部読み尽くしてやるぜ!
おっ両面刷りとは、さすがに力が入ってるなぁ。さて裏面は……。
迷路! 後詰めの長い待機時間を紛らわす、なんとも粋な趣向である。
徐々にゴザに戻るメンバーに、迷路を解かせては楽しんでいる、アホな俺。

メンバーが一通り戻ってくると、誰かがしりとりを始めた。
お題は「人名」。芸能人や歴史上の人物など、実在の者が対象だ。
コで始まりコで終わる人名のみで数巡した後、極限への戦いが幕を開けた。

途中、何度となく交渉状況の報告が入る間も、人名が脳内を埋め尽くす。
周辺と比較して、明らかに声の高い一群。かなり異様だ(笑)
隣ではウノをプレイしている連中も、寝ている連中もいるし、いいだろう。

気がつくと0時。ここで2回目の出欠。……これって意味あんのか?
そして夜食の配給。おにぎり、ゆでたまご、みかん×2。
ずいぶん人も減って、数が余っているので、欲張りな俺は2人分食べる。

食事をしながら、なおも人名しりとり(笑)
しかし、3回目の「ル」が、ついに最悪の状態を生み出した。
誰か「ルー大柴」と「ルビー・モレノ」以外に知っていたら、教えてくれ。
ちなみに「ルーベンス・バリチェロ」はマイナーだと言われてしまった……。
みんなF1とか観ないのか? 社会人は(深夜に)観ちゃダメなのか?
留守政景(奥州の武将)とどっちがメジャーなんだろう?
結局、ジャズミュージシャンの「ルイ・アームストロング」を採用、
以降「ル」は「ン」と同列に取り扱うことで、決着がついた。

5時間もの長きしりとりバトルに終止符を打ち、
途中で俺がアパート(徒歩2分)から持ち出したトランプゲームに移行。
2枚のジョーカーを生かし、普通の札を1枚だけ抜いた「ジジ抜き」と、
独占禁止法の制定が必要となる嘘つき探しゲーム「ダウト」をプレイ。

そうこうするうちに、午前3時。
県職連(県職労+県教組+高教組+群企労)レベルの交渉が妥結。
以降は職場別の交渉となり、引き続き28階で待機。
県職労関係だけが残っている状態なので、人数も一気に減ってしまった。
ざっと40〜50人といった程度か。

メンバーも遊ぶ気力は無いらしく、惰性で静かに話し続けるのみ。
つーか、俺、6時過ぎから寝ちゃったよ! すんません、マジで。
結局、この日の最終妥結は、午前8時。
長い一日だった……。
この後に続くはずだった3連休のうち、2日間は、寝て過ごすこととなった。

交渉団をはじめとするすべての参加者の皆様、大変おつかれさまでした。
あっ、結局、一度も交渉の内容に触れなかったじゃないか!
あとは労組の報告会で聞いてくれ! 新聞にも出てるし、じゃあ俺は寝るぞ!



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