皆さん こんにちは。
"de Tull" 担当の川島映子です。
 実は...

 私、とても幸運な事に、文化庁の在外研修員となり、2000年秋〜2001年春にかけてイギリスの「ROYAL OPER HOUSE」(R・O・H)にて衣裳の勉強をしてきました。
 遅ればせながら、そのときの事をお話ししていきたいと思います。
まず、今回はR・O・Hでのある日の私の一日とetc.....。

 「Morning!!」
 「Morning,Eiko!」
 リズミカルな朝の挨拶でR・O・Hでの一日が始まります。
 毎朝、ステージドアと呼ばれるスタッフ専用の出入り口から中に入り5階にある「Costume Department Store」へ向かいます。
 私がその部屋に入ると、そこではもう4〜5人の仲間が仕事を始めてます。
 広々とした部屋、大きな窓がいくつもあって、その向こうにはConvnt Gardenの街並みを見下ろせるテラスがあります。そんなステキな場所でミシンの音、アイロンの蒸気の音、そしてみんなが話すEnglishを聞きながら与えられた仕事をする毎日でした。

 「Eiko, Can you do this?」といって渡された、ある日の私の仕事は、とてもステキな仕事でした。バレエ「ロミオ&ジュリエット」のジュリエットの衣裳に付いているデコレーションを新しくつけ直す仕事でした。渡された衣裳は5着「主役が5人もいるなんてさすがにR・O・H...」と想いながらネームシールを見ていたら「SYLVIE GUILLEM」というアルファベットが目に飛び込んできました。ギエムは私が大好きなバレリーナ。そして、次に同じ日本人としてここで活躍している 吉田都 さんの衣裳もありました。世界の第一線で活躍しているバレリーナの衣裳に針を入れる事が出来るなんてとても光栄なことです。緊張していたのか、うれしさで興奮していたのかわかりませんが、針穴に糸がなかなか通りませんでした。すり切れたり、ほつれたりしている飾りを丁寧にほどいて、新しいブレードやリボンレースなどを縫いつけると、ちょっとくたびれていた衣裳もイキイキと美しくよみがえります。仕上がった衣裳をハンガーラックにさげて、一つ一つを手にとって眺め、別れを惜しみました。
 R・O・Hには、美しい舞台をささえている裏方さんの工房がたくさんあり、衣裳の分野は大きく2つに分かれています。一つは私がいるCostume Department Store、ここでは主に新しく上演される演目の衣裳を作ります。もう一つは、Costume Supportといって主に衣裳の修理や管理をするところがあります。その他にも、染色だけを行うところ、Hat&Jewelry、Shoes、Wigそれからクリーニング工場の様なクリーニングルーム、細分化された仕事にそれぞれの工房があります。
 そして、各部屋にはモニターテレビ(Sonyのテレビでした)がついていて、その時舞台の上で行われているリハーサルの様子などを。いつでも見ることができます。スピーカーからはオーケストラの音合わせや練習しているメロディー、舞台美術をセッティングしている音、照明器具を取り付けているバーを動かす音などがリアルに流れてきます。ダンサーやオペラ歌手を呼び出すアナウンス、リハーサルや衣裳合わせのスケジュールもアナウンスされ、これを聞きながら仕事をすることが心地よく、R・O・Hにいることを実感しました。

 ランチタイムは、ほとんどカンティーンと呼ばれる社員食堂で過ごします。  私の楽しみは、ここで美しいダンサーの姿を見ること。ランチを食べる姿、友達と語り合う姿、長い足を組んで椅子に座り、舞台の上とは違う表情をしたダンサー達を眺めながら、極上のランチタイムを楽しみました。
 そして、何よりの楽しみはもちろん!R・O・Hの舞台を見ること。研修生ということで月2〜3回は無料で見せていただきました。
 美しい、華やかな劇場に始めて入ったとき、「ROYAL」と呼ばれる、その伝統と品格を感じました。

 生活習慣の違い、言葉の問題など、時々大変なこともありましたが、親切で楽しい友達に囲まれて充実した研修生活を送ってきました。  「See You Tomorrow!」この言葉で私のR・O・Hでの一日は終わりました。 つづく...  



次回は、「初めてのR・O・H」をお送りする予定です。  

 

 

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