施設長の独り言

          「2015年の高齢者介護」について−−(4話)−−

 副題に「〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」と有るようにその内容はすばらしいものであると思う。 しかしこれを実現しようと思うときに2,3の点で疑問を感じざるを得ない。まず1点目は、誰が介護の担い手となるのか。2015年に高齢化率が25パーセントになった時質の高い介護労働者はいるのか。国連は「日本は、今の経済状況を実現するためには今後50年間毎年61万人の新たな労働者を受け入れねばならない」と提言している。
  2つ目はお金がかかるなと言う印象である。ユニットケアもグループホームでも現時点で月10万円前後の費用が掛かる。全ての人が厚生年金や共済年金の受給者で有れば問題はないかもしれない。(否現行の年金制度は世代間扶養制度になっているので働く人が減れば年金受給世代を支えられない。)特に国民年金受給者が多い農村地区は今でも十分な介護サービスを受けられる人が、費用の問題で断念する高齢者が多い。この費用の問題をどうするか。
 3つ目は痴呆性高齢者ケアを確立することが重要と言っているが、痴呆の原因も分からずに痴呆性高齢者ケアの普遍化が可能なのか。80歳90歳のそれまでの社会生活をしてきた高齢者をたかだか30歳程度の人がケアする訳で一刻も早く痴呆性高齢者ケアデータベースを完備していただきたい。
  現在の特養4人部屋型は介護の質では問題が有るかもしれない。が利用料が安いと言うことはそれだけで地域住民に受け入れられ、追求する価値があるのではないだろうか。 



                        平成15年10月31日   小林直行


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