アストロフォトタイマ2の製作

迫り来る2001年のしし座流星群を迎え撃つために
4連流星カメラ用に使えるインターバルタイマを作ってみました。



一応、形になったアストロフォトタイマ2。
現状は流星撮影用のインターバルタイマのプログラムまでしか
実装されていませんが、今後さらに発展の予定です。



●そのむかし、流星とるとるくんを作りました

それは、1998年のことでした。大出現がウワサされるしし座流星群に向けて、小生は密かに5連流星カメラなるモノを夏頃からダラダラと作っておりました。5台のモータードライブ内蔵35ミリ判一眼レフカメラを赤道儀に載せて、流星雨を狙おう、というモノです。夏頃からというのは、その年のペルセウス座流星群の撮影で、とりあえずカメラを複数台まとめてシャッターの開閉を行なうコントローラを作ってみたのです。
 こうした撮影では、実際にメーカーからインターバルタイマとバルブ撮影を組み合わせてコントロールできる専用のレリーズや、データバックなどが発売されています。しかし、カメラの機種が限定され、しかも複数台のカメラを同時にということになると、該当するアクセサリーは見あたりません。それぞれのカメラに別々に付けるのも流星狙いではカメラの台数が多くて出費がかさみますし、それぞれの設定が面倒です。ついでに、しぶんぎ群あたりだとデータバックでは液晶が凍り付いて使い物になりません。
 そこで、「じゃ、ないなら作ろう」という感じで、ダラダラと始めたというのが本当のところです。まあ、メーカー純正品のインターバルタイマや市販のシーケンサーを複数のカメラ用に手直し、という手もあるのですが、それじゃあまりにも安易すぎるので、あえてイバラの道を選んだ(?)というわけです。

 最初のコントローラは、ニコンF4sを3台とニコンF−501を2台利用した5連の流星カメラ用でした。これらニコンのカメラは、リモート端子が用意され、ニコン純正のケーブルを使って、外部からレリーズすることが可能です。そこで、ケーブルの先端にリレーを取り付け、すべてのカメラを同時にレリーズする手動のコントローラを作りました。回路的には、もちろんカメラ一台に付き、リレーがひとつです。それぞれの端子を次々(カスケード)につなげると、すべてのカメラが電気的につながってしまい、最悪の場合、不要な電流が流れてカメラを壊してしまいますから、とくに要注意です。

 さて、このコントローラ、操作が手動なので、何とか自動化したいと考え、古いNEC製のハンドヘルドコンピュータPC2001を改造して、タイマー代わりとしたのが、その年のジャコビニ流星群の頃。さらに、しし座流星群までには、水晶発振器とC−MOSのICを組み合わせて、完全に単独でタイマとして動かせるように進化させました。露出時間の秒数をダイヤルで設定し、スイッチを押すとカメラのシャッターを開き、LED表示の数値がカウントダウンされるというモノです。カウントが残り1秒になるとシャッターを閉じ、再び設定した秒数に戻って動作を繰り返します。ほぼ実用の域に達したこのコントローラを「流星とるとるくん」と呼び出したのもこのころです。



流星とるとるくん(最終型)

3ケタの7segLEDで999秒までのインターバルタイムセットが可能です。
背面パネルにニコン純正のケーブル用バナナプラグソケット×5セットを装備。
同時に5台のカメラの制御ができます。






5連流星カメラ「AKIRAMA」

「なんかインカデザイン」といわれながらも、ジャコビニ群で活躍。
とはいえ、群流星はひとつも写らず・・。
赤道儀は高橋JP、雲台だけで6万円?
とにかく、でかくて重いので、出撃回数はわずか・・。






4連流星カメラ「AKIRAMA T4」

AKIRAMAの小型軽量化を進めてこうなりました。
赤道儀は高橋EM10、
カメラはニコンF4S+35mmF2が4台。
総額・・考えたくもない・・。

今までは流星とるとるくんと組み合わせていましたが、
今年はアストロフォトタイマ2と共に使う予定です。




 しかし、この流星とるとるくん、改良、改善、機能追加のため、その基板は見るも無惨な工作状態。増築に改築を重ねた温泉宿のようでした。しかも、思いつくままの機能追加だったので、ICの数はC−MOSで20個以上、消費電力も12ボルトで最大0.8アンペアとトンでもないマシンとなっていました。



流星とるとるくん内部
すべて手配線です。
我ながら、無謀・・。




 それでも、天文業界関係者の中では、流星とるとるくんは好評でした。しかし、中身を見ると、「もう少し簡単に作れないか?」という意見も多く、製作した小生自身も「確かにそのとおり」と思っていましたので、翌1999年春から新型の製作検討に入ったのでした。
 ちょうどそのころ、小生が超愛読しているトランジスタ技術(以下トラ技)という月刊誌にPICマイコンと呼ばれるマイクロコンピュータの特集記事が掲載されました。PICマイコンは、ハバラー(東京秋葉原の電脳街をウロウロするのが好きな人種)でアキヅキスト(知る人ぞ知る電子パーツのデパート、秋月電子通商でのお買い物をこよなく愛する人。秋月こう氏とは無関係)でもある小生にとって、ずいぶん前から気になる存在ではありました。しかし、なかなか手を出す機会がありませんでした。そこで、このPICマイコンを使ってみようと考えたのでした。盛り込む機能は流星とるとるくんとほぼ同等ながら、表示器に2行16桁のLCD(液晶ディスプレイ)を利用し、よりインテリジェントなコントローラを目指しました。プログラマブルであることから、基本ハードさえ完成すれば、さらにさまざまな撮影用のタイマとして活用も可能でしょう。
 最初にフルロジックで組み上げて、次にマイコンでソフト的に制御する形に進化するという、世の中にいちばんありがちなストーリー展開ではありますが、こうして、ここにご紹介するアストロフォトタイマ2の開発が始まったのです。

仕様と使い方

PICってなんでしょう?

まずは試作機とソフト開発

製作の実際・回路編

製作の実際・ケース編


カメラとの接続



TOPに戻る