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田中眼科医院 

最新設備と思いやりの診療で地域医療に貢献します 

〒370-1301 群馬県高崎市新町78
「選定療養認定施設」 電話:0274-42-5578 FAX: 0274-42-8655

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性に対するPDT
   
1.加齢黄斑変性とは
   

 網膜は、カメラのフィルムに相当する大切な組織です。その網膜の中で、中心の黄斑とよばれる部位が障害されるのが、加齢黄斑変性です。景色の中心が歪んで見えたり、中心が暗くなったりするため、日常生活に支障がでてきます。欧米では、以前からこの病気が多かったのですが、最近、日本でも増加傾向にあります。

正常な黄斑部 加齢黄斑変性症
   
変視症 中心暗点
   
2.PDT(Photodynamic Therapy)とは

 光線力学的療法と訳します。光が当たると化学反応を起こす薬剤(光感受性物質)をまず、静脈に注射しておきます。薬剤が網膜の変性部に集まったところで、レーザー光線を照射します。レーザー装置は、この薬剤にぴったりした波長(689nm)だけを発生する専用機で、一千万円します。このレーザー装置を使うと正常な網膜を障害する心配がありません。病気の変性部だけに化学反応を起こさせるのです。そのため、従来のレーザーのような副作用がないのです。当院では、群馬大学眼科に続いてこの治療法を導入しました。

   
加齢黄斑変性の蛍光眼底造影 PDTの原理
   
3.PDTの問題点  
   

   理論的には、すばらしい治療法ですが、問題点もあります。まず、効き目ですが、病気を治すまでは、ゆきません。目標は、悪化予防です。この治療をしても年齢が進むと悪化する可能性が報告されています。少しでも、進行を遅くできれば良いと考えてください。次の問題点は、遮光が必要なことです。薬剤が、体から出てしまう48時間は、完全な遮光が必要です。その後も、しばらくの間は、強い光に当たらないために、サングラスや、帽子、長袖服などが必要です。最後の問題は、費用です。入院治療費が総額で数万円(保険1割の人)、十数万円(保険3割の人)もかかる事です。このような高額になると後で、高額医療費の払い戻しが受けられる人もあるのですが、やはり、大変な問題です。しかし、平成16年までは、アメリカまで行かないと受けられなかった治療法が、日本で保険適応になったのですから、安くなったとも考えられます。アメリカでは、保険が利かないので数十万円なのです。

サングラス、帽子、長袖服など 遮光が必要
   
.これから  
   

   加齢との戦いは、極めて困難な問題です。病気の早期発見には、OCT(光干渉断層計)や、高感度な蛍光眼底造影のできるSLO(走査型レーザー検眼鏡 2200万円)が有利です。PDTの適応外のタイプには、ダイレーザー(色の波長を変化させることができるレーザー装置 2200万円)や、TTT(経瞳孔温熱療法:1000万円)も必要です。当院では、これらすべてを揃え、今後さらに、新しい治療法を導入して行きたいと思っています。

SLOによる蛍光眼底造影
TTT(温熱レーザーによるソフトな凝固法)  レーザーの波長と吸収率 
 

5.ルセンティス・アイリーア・ベオビューの治療と説明

加齢黄斑変性症は、網膜の中心部である黄斑が障害され、視力低下や変視症などが起こり視野の中心が見づらくなる病気です。黄斑部の脈絡膜から新生血管と呼ばれる異常な血管が生えてくるタイプの滲出型は、症状の進行が速く、急激に視力が低下していきます。この新生血管は破れやすいため、黄斑が出血したり、むくんだりして、物を見る細胞の機能が障害されていきます。 ルセンティス・アイリーア・ベオビューは新生血管の成長を活発化させる体の中のVEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きを抑える薬で、この薬を眼内に注射することで新生血管の増殖や成長を抑える効果があります。

-治療内容-

 ルセンティス・アイリーア・ベオビューによる薬物療法は、導入期と維持期で異なります。導入期では、月1回ルセンティス・アイリーア・ベオビューを眼内に注射します。これを3ヶ月間繰り返します。その後の維持期は、病状の経過をみながら、徐々に延ばしてゆきます。 治療当日は、眼や眼の周りを十分消毒し、麻酔薬を点眼後、角膜から3.5ミリメートルの部位から細い注射針で0.05ml.を注入します。治療を受ける前3日間と受けた後3日間は、注射部位への感染予防のため抗菌点眼薬を点眼していただきます。

-副作用-

 稀に眼内の細菌感染や、眼圧上昇、視力低下、眼痛、網膜出血、一過性視力低下などの報告があります。全身性の副作用としては、脳卒中が報告されています。以前に脳卒中または一過性虚血発作を疾患としてお持ちの方は、事前に医師に伝えてください。 指定された日に来院すること、治療後に視力低下やからだに異常が起きたなど、何か変わりがあったら来院することが大切です。


- 費 用 -   「2016年4月より」

 3割負担の人:3回分で約135,000円、その後の追加は1回分で45,000円。

 1割負担の人:3回分で約36,000円、その後の追加は1回分で12,000円。