近視進行抑制治療薬リジュセアミニについて
2025年4月に参天製薬からリジュセアミニ(0.025%アトロピン)が発売されます。多数の臨床試験から、その有効性と安全性が確認された初めての薬です。視力を回復させるものではありませんが、点眼を行わない場合に比べて、小児の屈折値の進行や、眼軸長の伸びを抑制することが確認された点眼薬です。保険薬ではないので、費用はすべて自費(自由診療)になります。
この点眼治療をどのタイミングで始めるかですが、近視が発症したできるだけ早期から開始することが望ましいと考えられます。治療の目的が、進行抑制だからです。国内の臨床試験では5歳から15歳の患者が対象でした。次に投与時の近視度数ですが、国内試験では―1.0Dから―6.0Dの患者に実施されました。さらに、いつまで継続すべきかについてですが、近視の進行が安定化する10代後半まで継続することが望ましいと考えられます。
近視は、油断すると進行しやすい疾患です。進行すると黄斑症・緑内障・白内障・網膜剥離のリスクが増加します。進行抑制のためには、薬だけに頼るのではなく、日頃の生活管理が重要です。この治療を始める前に、十分な相談が必要です。また、長引く治療の理解も必要です。しかし、今までなかった点眼薬が発売されたわけですから、この機会に生活改善を行い、近視進行抑制および合併症予防を心がけましょう。
リジュセアミニ点眼治療に伴う費用
リジュセアミニ点眼薬とそれに伴う検査・処方はすべて自費(自由診療)になります。まず、リジュセアミニ点眼薬は、30本入り(1ケ月分)で4380円(税込み)です。それ以外にかかる費用は下の通りです。
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視力・屈折検査
1500円
(年に数回)
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眼軸長検査
1500円
(年に1~2回・予約必要)
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細隙灯顕微鏡・再診 1250円
(希望時・必要時)
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眼底検査・再診
2000円
(希望時)
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細隙灯・眼底・再診 2500円
(希望時)
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眼鏡処方・屈折
1500円
(必要時)
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CL処方・屈折
2000円
(必要時)
その他、この点眼治療に関係する自由診療の費用が掛かる可能性があります。
また、近視以外の別の病名でかかる場合は、保険治療になる予定です。