施設長の独り言

   第8話 沖縄先島諸島島巡りと地域分権を考える    
 
沖縄島巡りとして宮古列島と八重山列島の内、宮古島・伊良部島・来間島・池間島、石垣島・西表島・由布島・小浜島・竹富島の計9島を巡ってきた。羽田から宮古島に降り立った時の海の青さは、何とも言えない程の美しさを与えてくれた。日本にもこのような美しい海があるのか、と感嘆する程の印象を与えた。バスガイドによると、海の青さは紫外線の強さ・海のきれいさ・海底の砂の白さの3つの条件があって初めてエメラルドグリーンになるという。私が驚いたのは、宮古島の海の玄関口で有る平良港内もきれいで、熱帯魚が泳いでいることだった。海外の島々でもきれいなところは沢山あるが、港や人家の近くでは海は汚れ悪臭を放つのが普通である。
  この違いはどこから来ているのだろうか。住民の環境保護意識の高まりであると思う。バスガイドは、いとも簡単に「ゴミはなるべく出さない。合併浄化槽を設置している。」という。この意識こそが海をきれいにしている大きな理由であると思う。行政がいくら笛を吹こうが、肝心の住民が踊らねば環境保全は進まない。
  戦後様々な開発行為に対して、地域住民が反対運動を起こし、これに対し開発者は「地域エゴ」と批判し「公共の福祉」の名の元開発が断行されてきた。私が知る限り1970年代後半横浜新貨物線反対運動において、「地域エゴ」は果たして悪いのか?という問題提起がなされ、以後「地域エゴ」と「公共の福祉」という問題は広く世間に知り渡ることになる。私は、この地域エゴがより洗練された形で住民の意識高揚につながっていると見ているし、また今都市間競争がすさまじく都市の魅力をどう作っていくのかという過去にはない展開が各地に見られる。
  石垣島では石垣新空港問題が未だに尾を引いているように見受けられた。八重山列島の中核島として、石垣島の将来をどのようにしていくかという議論が、新空港問題に置き換わっていて、他島に比べ明確なプランが見えて来ない感じがした。竹富島では、珊瑚の石垣と白い珊瑚砂の道の風致地区を将来も残すぞという意思を強く感じた。小浜島では大手リゾート会社に島の未来を賭ける意思を感じた。西表島では、島民たちだけで島を守る意思を感じた。
  総じて住民の意識が高い程魅力的な島であるような気がした。住民が主体的にどうしたらこの島を良くすることが出来るか、と考えることから全てが始まっているような気がした。
  介護保険にしても、この保険は、地方が主人公で地方分権を先取りした制度である。町の介護をどうするのか?。高齢者施策をどう展開していくのか?。地域住民からの問い掛けや発想が必要であると思う。我々サービス提供事業者はこれら住民の手助け・助っ人に徹すればよいと思う。島巡りをして様々な島の取り組みを見てきた感想である。

                        平成16年6月30日   小林直行


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